ものの輪郭にとらわれず、カンヴァスを自由にめぐる鮮やかな色彩。アンリ・マティスらとともにフォービズム(野獣派)の一員として数えられ、20世紀フランスを代表する画家となったラウル・デュフィは、作品を通して「生きる喜び」を表しているという。2014年6月7日(土)から7月27日(日)までBunkamura ザ・ミュージアムで開催される「デュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディー」では、そんな彼の生み出した多種にわたる作品が展示。会期終了後は、大阪・あべのハルカス美術館、愛知県美術館を巡回する。
ラウル・デュフィ《ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ》
1952年 油彩、カンヴァス パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター
©Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / Jean-Claude Planchet / distributed by AMF
社会の明るい側面を描き出すデュフィの作品は、日本でも高い人気を誇っている。光のように画面を覆う色彩と、軽やかなタッチ。その豊かな表現は、眺めているだけで音が流れ出してくるかのような、心地よい錯覚へと鑑賞者を誘なう。
しかしそんな偉大な作品を遺した画家も、パリにやってきた当時は、印象派に魅せられたひとりの青年だった。セザンヌ風の風景画を描いた青年期に始まり、木版画やテキスタイルデザイン、本の挿絵に没頭した時期、そして自らの作風を築いた20年代以降。会場では各時期の代表作を展示することで、デュフィの作風が確立されるまでの過程をたどる。
展示作品は、油彩の絵画だけでなくあらゆる分野に及ぶ。モノクロの力強い木版画、ポール・ポワレ(Paul Poiret)やビアンキーニ=フェリエの服に捧げたテキスタイル、陶器、家具。デッサンや水彩画からは、デュフィの優れた画家としての能力、感覚の繊細さがひしひしと伝わってくる。
「不遇にして偉大な作家」。詩人であり美術批評家のギヨーム・アポリネールがこう評した通り、必ずしも評価されてこなかったというデュフィの芸術活動。しかし死後50年以上が経った現在も、多くの人々を魅了し続けているその華やかさ、軽やかさあふれる表現。時代を超えた大きな魅力を、ぜひ会場で感じ取ってみたい。
【開催情報】
デュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディー
会期:2014年6月7日(土)〜7月27日(日)
※7月2日(水)のみ休館
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
時間:10:00〜19:00 (金・土は~21:00)
※入館は閉館の30前まで
入館料:大人¥1,500(¥1,300)、大学・高校生¥1,000(¥800)、中学・小学生 ¥700(¥500)
■早割ペアチケット ¥2,200
一般券2枚のセット。会期中1名で2回、または2名で1回利用可能。
販売期間:2014年4月3日(木)まで
販売先:Bunkamuraチケットセンター、ザ・ミュージアム、チケットぴあ(Pコ―ド:766-053)、ローソンチケット(Lコード:31728)
<巡回予定>
・大阪会場
場所:あべのハルカス美術館
会期:2014年8月5日(火)〜9月28日(日)
・愛知会場
場所:愛知県美術館
会期:2014年10月9日(木)〜12月7日(日)
※すべて税込価格。
※( )内は前売り、20名以上の団体料金。