展覧会「サムライのおしゃれ─印籠・刀装具・風俗画─」が、東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)にて、2023年6月17日(土)から7月30日(日)まで開催される。
静嘉堂文庫美術館のコレクションには、武士の装身具である刀装具や印籠根付など、近世の武家文化のなかで育まれた美術工芸品の優品が数多く含まれる。展覧会「サムライのおしゃれ─印籠・刀装具・風俗画─」では、こうした刀装具や印籠に加えて、江戸時代の人びとの姿を描いた近世初期風俗画を紹介する。
身分制度が定められた江戸時代において、大小の刀を腰にさすことは、武士の特権であった。朱塗や金色のきらびやかな鞘の装飾は、江戸の太平の世には廃れて黒に統一され、武士は深い光沢を持つ漆黒の艶にこだわるようになった。また、鐔や小柄といった細かな金工も発展している。
一方、印籠とは、もともと腰に提げて中に常備薬を携行する道具であったものの、江戸時代には本来の用途から離れ、装飾品として男性の必需品となった。将軍や大名は、各家の伝来の由緒のある茶の湯道具や美術品とは異なり、個人の好みを自由に反映できる印籠を注文製作するようになったのだ。本展では、静嘉堂が所蔵する江戸時代の刀装具や印籠を精選し、展示する。
また、本展では、江戸時代の人びとの装いに着目しつつ、近世初期風俗画を紹介。桃山時代から江戸時代初期にかけて、上方を中心に、庶民の生活を描いた屏風絵や襖絵が生まれた。これが近世初期風俗画だ。たとえば代表的な作品である《四条河原遊楽図屏風》(重要文化財)には、洒落た装いをした歌舞伎者、遊女や若衆の姿を見てとることができる。
さらに、会場では、後藤象二郎がイギリスのビクトリア女王より拝領したサーベルを初公開。1868年、京都で明治天皇に謁見しようとするイギリス大使ハリー・パークスを、2人の攘夷派志士が襲撃する事件が発生した。1000人超の隊列は混乱に陥ったものの、明治政府の接待係、土佐藩士・後藤象二郎と薩摩藩士・中井弘の活躍により、暴漢は討ち取られることに。護衛の感謝のしるしとして、ビクトリア女王から彼らふたりにサーベルが贈られたのだった。本展は、永らく行方不明とされてきた後藤象二郎拝領のサーベルを目にすることができる機会となる。
展覧会「サムライのおしゃれ─印籠・刀装具・風俗画─」
会期:2023年6月17日(土)〜7月30日(日)
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館 1F
開館時間:10:00〜17:00(金曜日は18:00まで)
※入館はいずれも閉館30分前まで
入館料:一般 1,500円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
【問い合わせ先】
TEL:TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)