生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI ─ 密教のルーツとマンダラ世界」が、奈良国立博物館 東西新館にて、2024年4月13日(土)から6月9日(日)まで開催される。

密教の全貌と曼荼羅の空間

平安時代、日本に密教をもたらした空海。その生誕1250年を記念して開催される特別展「空海 KŪKAI ─ 密教のルーツとマンダラ世界」では、密教伝播の軌跡をたどることで、その全貌を詳らかにするとともに、密教が説く思想を図像として表した「曼荼羅(マンダラ)」の空間を再現する。なかでも、日本の曼荼羅の原点《両界曼荼羅(高雄曼荼羅)》(国宝)は、修復後初公開となる。

インドで生まれた密教は、シルクロードを経て東アジアの諸地域に伝わった。とりわけ、唐時代の中国には、本尊・大日如来(だいにちにょらい)の慈悲と悟りの世界を説く『大日経』が陸路を介して、生きながらにして仏になる「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」の道を説く『金剛頂経』が海路によって伝わることになった。

これら2つの流れを融合し、現在の密教へと繋がるかたちに体系化したのが、空海の師である恵果(けいか)である。人々を救うことを願い、密教に辿り着いた空海は、唐に渡って恵果から密教のすべてを受け継ぎ、それらを日本に伝えたのだ。

密教は、言葉だけでは伝えることができない、深く秘められた仏の教えのことだ。そのため、図や絵を使って、人々に悟りの道を示すことになる。この図像が「曼荼羅」である。密教の2つの流れは、曼荼羅の「胎蔵界(たいぞうかい)」と「金剛界(こんごうかい)」に対応しており、唐で生まれた両界曼荼羅は、これら2つの流れの統合を象徴するものだといえる。

本展では、国宝約30件、重要文化財約60件を含む名法の数々から、密教の全貌を紹介。なかでも、空海が自ら制作を指揮した《両界曼荼羅(高雄曼荼羅)》(国宝)は、現存最古の両界曼荼羅である。また、京都・安祥寺の《五智如来坐像》(国宝)や、和歌山・金剛峯寺の《大日如来坐像》(重要文化財)などを通して曼荼羅の世界を再現するほか、《金銅密教法具》や《錫杖頭》(ともに国宝)といった仏具も展示する。

さらに、「書の名手」としての空海にも着目。空海は、語学や建築に秀でるばかりでなく、当時もっとも優れた3人の書家のひとりにも数えられている。会場では、仏教の教えの素晴らしさを説く《聾瞽指帰》や、空海が最澄に宛てた手紙《風信帖》(ともに国宝)など、空海の直筆も数多く目にすることができる。

展覧会概要

生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI ─ 密教のルーツとマンダラ世界」
会期：2024年4月13日(土)〜6月9日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
会場：奈良国立博物館 東西新館
住所：奈良県奈良市登大路町50番地
開館時間：9:30～17:00(入館は閉館30分前まで)
※名品展は開館時間が異なる(詳細については博物館ウェブサイトを参照)
休館日：月曜日(4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館)、5月7日(火)
観覧料：一般 2,000円(1,800円)、高校・大学生 1,500円(1,300円)、中学生以下 無料
※( )内は、前売および20名以上の団体料金
※前売券は、2月13日(火)から4月12日(金)まで、奈良国立博物館観覧券売場、ローソンチケット(Lコード 52679)、イープラス、セブンチケット(セブンコード 103-749)ほかにて販売

【問い合わせ先】
TEL：050-5542-8600(ハローダイヤル)