東京・日本橋のミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、夏の企画展「浜口陽三と波多野華涯—匂い立つ黒と黒—」を、2024年6月11日(火)から8月18日(日)まで開催する。
企画展「浜口陽三と波多野華涯—匂い立つ黒と黒—」は、20世紀後半を代表する銅版画家・浜口陽三(はまぐち ようぞう)の作品を、陽三の父と交流のあった南画家・波多野華涯(はたの かがい)の《蘭竹図銀屏風》とともに紹介する展覧会だ。
浜口陽三は、古典的な銅版画技法であるメゾチントを復興するとともに、そこに色を重ねる「カラーメゾチント」の技法を発展させたことで知られている。その作品は、黒い画面にさくらんぼなどのモチーフが浮かび上がる、静謐な作風を示すものだ。
一方、幕末の大阪に生まれた波多野華涯は、東京や地元・大阪で絵を学んだのち、大正6年(1917年)より岡山に定住して南画家として生きた女性だ。構図や配色、モチーフの取り合わせなど、華涯は南画の伝統を守りつつ、新鮮な感覚を取り入れた力強い作品を残している。また、浜口陽三の父、第十代濱口儀兵衛(ぎへえ)の後半生の南画の師でもあった。
浜口陽三の作品における墨絵の影響は、これまでにたびたび指摘されてきた。40歳を過ぎてから本格的に銅版画に取り組むようになった陽三は、版画家となる以前、油彩や水彩、彫塑など、さまざまな制作を手がけている。また、南画の収集家として知られた父のもと、陽三も幼少期より南画に親しみ、30代には墨絵を習った時期もあった。
本展では、《14のさくらんぼ》や《西瓜》といった陽三の版画作品とともに、黒の濃淡で竹と春蘭をいきいきと描きだした華涯の《蘭竹図銀屏風》を展示。とりわけ《蘭竹図銀屏風》は、美術館では初公開、東京では初の展示となる。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 25周年記念1
夏の企画展「浜口陽三と波多野華涯—匂い立つ黒と黒—」
会期:2024年6月11日(火)〜8月18日(日)
会場:ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
住所:東京都中央区日本橋蛎殻町1-35-7
開館時間:平日 11:00〜17:00 / 土・日曜日、祝日 10:00〜17:00
※第1・第3金曜日は20:00閉館
※入館はいずれも閉館30分前まで
入館料:大人 600円、高校・大学生 400円、中学生以下 無料
【問い合わせ先】
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
TEL:03-3665-0251