展覧会「中世の華・黄金テンペラ画 — 石原靖夫の復元模写 チェンニーノ・チェンニーニ『絵画術の書』を巡る旅」が、東京の目黒区美術館にて、2025年2月15日(土)から3月23日(日)まで開催される。
「中世の華・黄金テンペラ画 — 石原靖夫の復元模写 チェンニーノ・チェンニーニ『絵画術の書』を巡る旅」展は、ヨーロッパ中世美術の華とも言える、黄金の背景に描かれた「テンペラ画」に着目する展覧会だ。ゴシック期イタリアの画家シモーネ・マルティーニのテンペラ画作品《受胎告知》の復元模写を展示するとともに、中世のテンペラ画の技法に光をあてる。
テンペラ画とは、主に卵黄で顔料を練った絵具で描く絵画を指す。卵黄テンペラは、乾くのが早く、耐久性に富むとともに、明るく鮮やかな色を呈する点が特徴。こうした特性を活かし、金箔を組み合わせた装飾技法が数多く生みだされている。金箔を背景に描かれたテンペラ画は、主に14世紀から15世紀前半のイタリアで発展することになった。
中世から伝わる卵黄テンペラの技法を、イタリアで1970年代に学んだのが、石原靖夫だ。石原は、シエナ派の画家シモーネ・マルティーニが手がけた代表作《受胎告知》の技法を研究し、復元模写を制作。中世の画家が行っていた手順をふまえつつ、6年の歳月をかけて、復元模写の大作をすべて手作業で完成させたのであった。
本展では、石原が手がけた、マルティーニ《受胎告知》の復元模写を公開。また、この復元模写の制作のために石原が使用した道具、材料、色材などを展示するほか、テンペラ画の描き方の制作工程も紹介する。
卵黄テンペラ画は、中世の写本やルネサンス期にかけての板絵祭壇画などに用いられ、そこにはさまざまな装飾技法が施されていた。背景の金箔地には、画面にきらびやかさを与える刻印装飾を施す一方、人物の衣裳などには、金箔を活かして華麗な文様表現を繰り広げた。会場では、イタリアのルネサンス期において絵画や額に使われた装飾技法29種を、1枚の板にまとめたテンペラ装飾の標本も目にすることができる。
展覧会「中世の華・黄金テンペラ画 — 石原靖夫の復元模写 チェンニーノ・チェンニーニ『絵画術の書』を巡る旅」
会期:2025年2月15日(土)〜3月23日(日)
会場:目黒区美術館
住所:東京都目黒区目黒2-4-36
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(2月24日(月・振)は開館)、2月25日(火)
観覧料:一般 900円(700円)、高校生・大学生・65歳以上 700円(550円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障がい者および付添者1名は無料
※目黒区在住・在勤・在学者は団体料金(受付で証明書類を要提示。割引の併用不可)
【問い合わせ先】
目黒区美術館(代表)
TEL:03-3714-1201