企画展「春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵」が、東京の府中市美術館にて、2025年3月15日(土)から5月11日(日)まで開催される。
日本で油絵は、明治時代に入って本格的に制作されるようになったものの、江戸時代においても描かれていた。江戸時代の鎖国下においても、当時交流のあったオランダや中国を介して油絵がわずかにもたらされ、それに倣って描く画家が存在したのだ。その代表的な画家に、司馬江漢(しば こうかん)と亜欧堂田善(あおうどう でんぜん)を挙げることができる。
企画展「春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵」は、紹介される機会の少ない、江漢と田善による江戸時代の油絵を取り上げる展覧会。江漢の《円窓唐美人図》や《皮工図》、田善の重要美術品《両国図》や《墨堤観桜図》など、ふたりの油絵に加えて、銅版画、墨や在来の絵具を使った作品も公開する。
江漢と田善が手がけた油絵は、現代の人々がイメージする油絵とは異なるものだ。たとえば画材には、日本で古くから使われてきた繊細な絹織物と、エゴマの油などを用いて自分で調合した絵具を使用している。ふたりの油絵に見られる、なめらかで、明るく落ち着きのある色合いは、こうした画材から生まれるものである。
また、その画面には、西洋や、明治時代以降の日本の油絵とは異なる特徴も見出すことができる。すっと伸びる水平線の上に、広大な青空が広がる江漢の風景画や、遠近法を使用し、果てしなく景色が続く様子を描いた田善の作品などには、西洋の画法に対する関心が率直に表れているといえる。
本展では、江戸時代に油絵を手がけた江漢と田善の作品を紹介するとともに、その違いにも着目。江漢は、科学者であり文人でもあった一方、田善は、幕府老中をも務めた白河藩主・松平定信のもと、黙々と技術を極めていった。こうした立場や環境の違いが作品に与える影響にも光をあててゆく。
企画展「春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵」
会期:2025年3月15日(土)〜5月11日(日) 会期中に大幅な展示替えあり
[前期 3月15日(土)〜4月13日(日) / 後期 4月15日(火)〜5月11日(日)]
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内
開館時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)
観覧料:一般 800円(640円)、高校・大学生 400円(320円)、小・中学生 200円(160円)、未就学児 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障碍者手帳(ミライロID可)の所持者および付添者1名は無料
※府中市内の小・中学生は「府中っ子 学びのパスポート」で無料
※本展観覧料でコレクション展も観覧可
【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:050-5541-8600