「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」が六本木・森美術館で開催される。会期は2017年11月18日(土)から2018年4月1日(日)まで。
「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」では、アルゼンチン出身の現代芸術家、レアンドロ・エルリッヒの24年にわたる活動の全貌に迫る。東京における初の大規模個展だ。日本でも活躍する彼の代表作《スイミング・プール》は、多くの人が一度は必ず見たことがある有名な作品だ。金沢21世紀美術館に設置されている本作は、外から見ると、中にいる人がまるで水中にいるような、一方で中から見ると自分が水中から地上を仰ぎ見ているような、不思議な感覚を体験できる。
会場では、新作や日本初公開の作品を含めた約40点を公開。1995年から2017年まで24年間にわたる彼の活動を網羅する世界でも最大規模の個展となる。自分も参加・体験ができる作品が多いので、子供から大人まで幅広い人が楽しめる展示内容も魅力だ。また、彼の作品の中でも人気シリーズと謳われる「建物」シリーズは、写真撮影が可能。建築的なインスタレーションの中で感じる不思議な感覚を、思い出の1ページとして残すことができる。
《反射する港》と《試着室》は、日本初公開となる。手漕ぎ式のボートが、水に揺れながら漂う《反射する港》は、実は、水はなく、水面に映っているように見える反射イメージも、上部のボートと同じ素材でできた立体物だ。また、《試着室》は、迷路のような体験型インスタレーション。試着室の中に入ると、前方と左右に姿見が設置されている。しかし。そこに自分の姿は映らず、代わりにどこまでも試着室が続いている。どちらも、彼の手法を駆使した“不思議な空間”を体感できる作品だ。
そして、本展のために制作された新作《教室》は、少しどきっとさせられるような作品。廃校となった学校の教室を舞台にした部屋の中に入ると、ガラスに自分の姿がうっすらと映り込む。まるで自分自身が廃校を彷徨う亡霊になってしまったような気分を味わうことだろう。少子化や地方の過疎化というテーマを、彼らしいコミカルな表現に昇華した。
また、鏡の効果を利用し、まるで建物の壁にぶら下がっているような視覚効果を体験できる参加型インスタレーション《建築》シリーズの新バージョンも公開される。
家やプールなど、身近なものを対象に、観客までもを引き込んでしまう彼の作品は、ただユニークで、楽しいだけではない。誰にとっても日常的で卑近なものを、少しズラし、私たちが当たり前だと思っている常識や世界を揺さぶるのだ。実際に作品の中に入り、視覚だけでなく、全身の感覚を通して体感することで、日常に新しい世界が立ち現れる。本展は、アートの知識がない人でも、芸術が持つ力に触れるきっかけを与えてくれるだろう。
【詳細】
レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
会期:2017年11月18日(土)〜2018年4月1日(日) ※会期中無休
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
開館時間:10:00〜22:00 (最終入館 21:30)
※火曜日のみ、17:00まで(最終入館 16:30)
料金:一般 1,800円、学生(高校・大学生) 1,200円、子供(4歳ー中学生) 600円、シニア(65歳以上) 1,500円
【問い合わせ先】
TEL:03-5777-8600