2012年7月13日(金)、独特のクリエーションで日本の美意識を衣服に宿すことで注目を集めるブランド、まとふ(matohu)の表参道本店オープン1周年を迎えた。
1周年を記念して企画されたアーティスト・深堀隆介の個展「天魚の羽衣」の作品も同店にて公開され、2012年7月30日(月)まで開催される。
透明樹脂に何層にも平面の絵を重ねることで、まるで水中に金魚が泳いでいるかのような代表作はもちろん、薄く透けるシルクシフォンに染料で金魚を描き、店舗の列壁の緩やかに掲げた作品も登場。まるで天の川を悠々と泳ぐ金魚を下から見上げているかのような作品。誰しもがその幻想的な雰囲気に包まれることになるだろう。
この1年を振り返り、デザイナーの関口と堀畑は「あっという間に過ぎたというのが実感です。本店の2階がアトリエになっているので、合間に様子を見に来たり、実際に自分たちが接客をすることもありました。什器を取り外せば空間をフレキシブルに使える内装にして、アーティストの方とコラボレーションした展示をしたいと兼ねてから考えていましたが、深堀さんの作品のおかげで店舗という空間に「命」が吹き込まれたと驚いています」と語った。
また、アーティストの深堀もまとふとコラボレーションした展示をすることができた喜びを話してくれた。「今回、関口さんと堀畑さんからに描くという表現方法を提案してもらうことで、自分にはなかった新しい発想に刺激を受けました。私はアートを通じて表現していますが、「日本の美意識」を見直し、伝えるという行為はまとふのクリエーションとつながるところがあると感じています」。
左から) matohu デザイナー 堀畑、アーティスト 深堀、まとふ(matohu) デザイナー 関口
物質主義の社会で慌ただしく毎日を過ごしていると、まるでこれまで積み重なってきたはずの日本らしさが失われてしまったかのように感じる瞬間がある。けれど、その「モノ」奥に流れる価値や美しさを大切にする日本人の眼差しを問い直すまとふとアーティスト・深堀。異なる表現方法であっても、彼らが交差することでさらに遠い視線の先まで私たちに示してくれる気がした。
【展覧会情報】
「天魚の羽衣」展
期間:2012年7月13日(金)~30日(月)
場所:matohu表参道本店
住所:渋谷区神宮前5-9-25 1F
TEL:03-6805-1597