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土屋太鳳にインタビュー - 他者を生きる“芝居じゃない芝居”を、等身大の想いを込めた『春待つ僕ら』

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2017年の『8年越しの花嫁』でますます注目を浴び、2018年も『となりの怪物くん』『累-かさね-』と主演映画が続く女優・土屋太鳳。2018年を締めくくる主演作として、あなしん原作の少女漫画を実写化した青春映画『春待つ僕ら』も12月14日(金)に公開となった。『春待つ僕ら』は、土屋が演じる、高校入学を機に“脱ぼっち”を目指す主人公の春野美月(はるのみつき)と、校内で人気のバスケ部男子4人、そして美月の幼馴染でありスーパー高校生バスケットプレイヤーである神山亜哉らが織りなすバスケ×青春×恋のストーリーだ。

土屋太鳳にインタビューを実施。女優としてのスタートから、これまでの女優としての歩み、そして最新作の『春待つ僕ら』に込めた想いまでを語ってもらった。

土屋太鳳 インタビュー|写真3

学生生活と女優業の両立、そして映画出演を重ねて深めた役作りへの想い

演技に興味をもったきっかけは何でしたか。

きっかけは、小学生の時の劇の会でした。当時、スポーツは得意だったけど、喋るのは苦手。劇の会ではやりたい役もなく、発言しないでいたら酔っ払い役になってしまったんです。

それでも、演じ切ろうと思って色々自分なりに考えてみました。ただひょろひょろしているだけだとつまらないから、ペットボトルみたいなものを絵具で塗って徳利(とっくり)にして持ってみたり、ネクタイを巻いてみたりして。そしたら、いろんな人が面白かったよ!と言ってくれたことが、とても嬉しかったです。

その時はまだ何もわかっていなかったのですが、あとから振り返るときっかけはここだったのかなと思いました。

10歳の時にオーディションを受けられて、「スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックス」の審査員特別賞を受賞されています。そのオーディションに応募した理由も、歌手などではなく、女優に興味をもたれてのことでしょうか。

もちろん演技への興味からです。映画の世界に入れたらいいなと思っていました。でも、「スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックス」を選んで応募したのは、フェニックスが土屋太鳳の「鳳」の字と一緒という単純な理由でした。

学生時代、役者の仕事をしながらも、土屋さんは全国大会へ出場する強豪校のダンス部にいらっしゃいました。両立は難しくなかったですか。

本当に難しかったですね。練習が厳しかったのはもちろん、上下関係もとても厳しいチームでした。でも、諦めるのは嫌で、絶対に両立させたいと思っていました。

高校1~2年生までは何とか続けられたのですが、2年生のころから少しずつオーディションに受かるようになり、チームのみんなとすれ違いが生まれるようになってしまいました。休んでいると、一緒に練習をしていく中で分からないことがでてきてしまったり、上級生には「仕事で忙しいのはわかるけど、そういう中途半端な気持ちで来られたら困る」とも言われてしまったり。

自分が変わってしまったのかなとも思いました。前だったらこの会話はもっと楽しかったはずなのに…と。疎外感を感じて悩む時期がありました。

どのようにして乗り越えていったのでしょうか。

怖がらずに自分からコミュニケーションをとろうと、仕事の合間を見て10分でもいいから部活や学校に顔を出すように心がけました。そして、大会に自分が出場できないときは、しっかりサポートできるよう、みんなのために自分が今、何をすればいいかを以前よりも考えるようになりました。

でも、結果的には、周りのみんなに恵まれて、ダンスを続けることができたんです。辞めようという話をしたときに号泣してくれた同級生。1つの作品に“土屋ありパターン”“土屋なしパターン”の2種類のフォーメーションを作ってくれた先生。私の居場所を作ってくれていたことが本当にありがたかったです。

土屋太鳳 インタビュー|写真4

ダンスと演技の表現力で通じることはありますか?

通じることはあるかもしれないけど、私はダンスと演技は表現という面で違うと思っています。ダンスは、日ごろ感じている「こうなればいいな」「こうしたいな」という自分の感情を爆発できる場所。でも演技は、私ではない他者の願いや想いを表現するものだと思っています。

青春時代から数多くの作品に出演されていますが、心に残っている作品はありますか。

高校生の頃に出演したウルトラマンシリーズ「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」ですね。

小さい頃からウルトラマンが大好きで、憧れだったんです。まさか、ウルトラマンシリーズのヒロインを私が演じられるなんて!夢なんじゃないかと思うほど嬉しかった。そして、何よりもあの作品がなければ、鈴木(清)先生には出会えていなかったと思います。

実は今もウルトラマンのスタッフの方たちとやりとりすることがあります。鈴木先生の作品を見に足を運んだり、逆に鈴木先生が私の作品を見に来て下さったり。兄弟の舞台作品にまで足を運んでくださって、「おう!ひさしぶり!」と、まるで親戚みたいな感じで声をかけて下さるんです。今でも信じられない繋がりだなと思っています。

女優としての転機となった作品はありますか。

『日輪の遺産』(2011)は、ひとつの転機かもしれないですね。

物語は太平洋戦争時代のことを描いていました。私は、病弱だけど芯の強い女生徒の役。戦時中、壮絶な時代の渦に巻き込まれる女の子を演じるために、まずは戦争のことを勉強して、病弱な子、その当時の子の雰囲気を出すため、体を絞りました。そして、死を選ぶ彼女の気持ちになるため、自分の大切なものや家族のことを思い出したりして、体力的にも、感情的にも必死に臨んだ作品でした。

私に役作りが何かを教えてくれた作品です。

監督に「芝居じゃない芝居だからよかった」と言ってもらえた。その時の気持ちは今も忘れないようにしています。

映画『8年越しの花嫁』より
(c) 2017「8年越しの花嫁」製作委員会
映画『8年越しの花嫁』より
(c) 2017「8年越しの花嫁」製作委員会

芝居じゃない芝居とは、どのような演技のことですか。

その人として呼吸できることとでも言うのでしょうか。

小学生の時はまだ何もわかっていなかったのですが、今思えば、酔っ払い役を演じたあの時から、他者の人生を生きる魅力に惹かれていたのだなと思いました。そして、役を通して育む観客の方たちとのコミュニケーションが、すごく好きだったのかもしれませんね。

小学生のころ、無意識的に感じていた他者の人生を生きることの楽しさは、役者として今でも忘れてはいけないことだと思っています。

『8年越しの花嫁 奇跡の実話』では、役作りにどう向き合いましたか?

実話をもとにしていて、ご本人たちが今幸せな人生を送られているからこそ、悲しいだけじゃなくて、その幸せな印象をしっかり伝えなければいけない。そのために(自分が演じた)麻衣さんの気持ちを分からないといけないと思ったんです。どう演じようかとても悩みました。

そんな時、ひとつひとつのシーン、ひとつひとつの言葉ごとに悩んでいらっしゃる、佐藤(健)さんの姿がそばにあって。私が悩んだり、苦しんだりするのは当たり前だと感じると同時に、ひとつひとつの言葉、演じる役に向き合う姿勢を見つめ直しました。

撮影中、佐藤さんに付き合ってもらい、車いすでコンビニにいったりして。コンビニに行くだけのはずなのに、道が狭くて通れなかったり、少しの坂道が危なかったり、棚にあるほしいものが取れなかったりと、障害がいっぱいで、その感情を共感してくれました。佐藤さんの共演は、日常から役に生きているような感覚を味わえました。

土屋太鳳の等身大のメッセージを込めた『春待つ僕ら』

『春待つ僕ら』への出演が決まったときはどのような思いでしたか。

私のデビューのきっかけになったオーディションが、「第2の薬師丸ひろ子を探せ!」というコンセプトで、主演もできて、主題歌も歌える人を探すというものだったんです。『春待つ僕ら』では、主演で、主題歌も歌わせていただけているので、やっとその時のことが叶ったみたいで。不思議な縁のある作品なのかもと思いました。

映画『春待つ僕ら』より
©あなしん/講談社 ©2018 映画『春待つ僕ら』製作委員会
映画『春待つ僕ら』より
©あなしん/講談社 ©2018 映画『春待つ僕ら』製作委員会

最新作の『春待つ僕ら』も含め、近年は小説・漫画の実写に出られていることが多いですね。オリジナル脚本作品と違い、難しいと感じられることはありますか。

原作のある作品は、原作を大事にしなきゃいけない。だって、原作が一番素晴らしいものだと思いますし、そこにいかに近づけるかが大切だと思うから。

そして、それがとても難しくもある。今まで、原作小説・漫画と一緒に過ごしてきた方がたくさんいるし、その時間の中で、作品のイメージが完成していると思うんです。だから、「違うでしょ」と思われることが当然だと思いながら、どのようにしてそのイメージに近づければいいかを考えるようにしています。

『春待つ僕ら』で演じるのは、なかなかクラスに馴染めない“脱ぼっち”を目指す美月。彼女へのイメージはどのようなものでしたか。

とても可愛らしいイメージでした。だから最初は私に合わないんじゃないかなと不安で。でも、美月に向き合ううち、美月があまりに可愛らしい女の子すぎると、部活に打ち込んでいるバスケ部の男子4人とは分かり合えないだろうし、芯をもった女の子であるべきなのかなと思うようになりました。

美月の気持ちに共感できる部分はありましたか。

同じクラスの子になかなか話しかけれなかったり、春になれば環境が変わって今までより大きな一歩が踏み出せるようになるんじゃないかって期待したりすること。私も高校時代、仲間とのコミュニケーションに悩んだ1人ですし、自分の居場所をつくってくれる仲間の大切さも感じていた身なので、その悩みにはとても共感できました。

この感情は、私だけではなくて、生きていく中できっと誰もが感じることですよね。『春待つ僕ら』で描いているのは高校生の話ですが、大人になっても感じざるを得ない感情でもあるから、そこを上手く表現できたらと思っていました。

映画『春待つ僕ら』より
©あなしん/講談社 ©2018 映画『春待つ僕ら』製作委員会
映画『春待つ僕ら』より
©あなしん/講談社 ©2018 映画『春待つ僕ら』製作委員会

『春待つ僕ら』もスポーツに打ち込むシーンが登場します。自身の経験と重ね合わせた部分はありましたか。

私の学生時代は、バスケ部の男子4人に近いタイプです(笑)。大会の前は、深夜まで友達の家で計画を立てたりしていたなあって、高校生時代を思い出しました。

でも、彼らの気持ちが理解できるからこそ、美月の気持ちを分かることができた気がします。ダンスをしていた時、私は「がんばれ」を言われる側で、チームのみんなを支えるという経験もあったので、頑張っている人に向ける「がんばれ」のニュアンス、想いを伝える方法は知っているつもりでした。

私の学生時代の経験が、みんなを応援する美月の雰囲気づくりに生かせたかなと思います。

美月を演じたなかで、伝えたいことはありますか。

最後のシーンは、美月を通じて土屋太鳳としての心の言葉も込めています。監督と一緒に、あれでもない、これでもないと考え、これまで自分が歩んできた中で感じてきたことを表現しました。

振り向いてもいい。立ち止まっていい。誰かを頼ってもいい。頑張っても頑張っても足りないと感じるときがあったら、きっと今のままでいいって。

その想いが皆さんに伝われば嬉しいです。

土屋太鳳 インタビュー|写真1

映画『春待つ僕ら』作品詳細

公開日:2018年12月14日(金)全国ロードショー
原作:あなしん
監督:平川雄一朗
脚本:おかざきさとこ
出演:土屋太鳳、北村匠海、小関裕太、磯村勇斗、杉野遥亮、稲葉友 他
配給:ワーナー・ブラザース映画

ストーリー

高校入学を機に“脱ぼっち”を目指す美月だが、何をやっても上手くいかない・・・。そんな美月のバイト先に、校内で人気のバスケ部男子4人が突然現れ、美月の平凡だった日常をひっかき回す・・・。一見チャラいが、実はバスケに真剣で、仲間を大事にする4人の素顔を知り、次第に心を許していく美月。なかでも4人の中で一番無口で穏やかな永久は「大事なものがきっと見つかると思うよ」と美月を励ます。お互いが気になり始めた時、美月は幼なじみの亜哉と再会する。高校バスケ界期待の選手に成長していた亜哉は「僕の気持ちは変わらないよ」と告白する。全国大会で対戦する永久と亜哉。全てを賭けた勝負が始まる!美月は複雑な気持ちを抱えつつ、一方で弱い自分を乗り越えるため、ある挑戦をするが。

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