エルトンを演じる前と後で、彼に対する印象は変わりましたか。
今はエルトンのことをすごく個人的に知っているけど、前はそれこそ本当に実在するのかどうかっていう遠い存在でしたね。有名でカリスマのような存在。本当に“文化遺産”みたいな人で、雲の上の人だった。でもエルトンとの対話を通じて、彼のように有名な人の裏にも、感情の大きな振れ幅や弱さ、脆さといった人間味があることを知りました。彼は本当に素晴らしい人です。今でも週に2.3回話をするほど親しくさせてもらっていて、彼と一緒に過ごす時間はかけがえのないものです。
エルトンを演じることが、俳優としてのキャリアにどんな影響を与えてくれたと思いますか。
自分が30代になっていく中で、もっと円熟味のある役をやっていくといいなと思っていたのですが、その入り口的な役になってくれたと思います。20代は『キングスマン』をはじめ面白い役をたくさんやらせてもらっていたけど、若く、未熟な役が多かった。エルトンは、これまでで最も複雑で入り組んでいて、それでいて成熟していた役柄でした。『ロケットマン』を見た人に、タロン・エガートンはいろんなことができる俳優なんだ、レンジの広い俳優なんだということを見て欲しいし、目に留まってくれれば嬉しいです。
今後チャレンジしていきたいことはありますか。
役者としては、自分の内面とはかけ離れた役柄にどんどん挑戦していきたいです。『キングスマン』でも『ロケットマン』でもそうだったように。あと歌う役は、今後もどこかでやりたいですね。それから、演じることも好きなんですが、映画を作ることそのものがすごく好きなので、いつかはカメラの前ではなく後ろに立つ立場になれたらと考えています。それこそ俳優から監督になったデクスター・フレッチャーのようになりたい。それははるかかなた先のことになると思うけど(笑)。プロデュースや制作についても、もっと勉強していきたいです。
劇中には、19歳のエルトンが「SATURDAY NIGHT’S ALL RIGHT FOR FIGHTING/土曜の夜は僕の生きがい」を夜の遊園地で歌い踊るミュージカルシーンも。このワンシーンを作るために集められたのは、約300人に及ぶエキストラと約50人のダンサーたち。ロックンロールに目覚めたエルトンの10代の全盛期を、パワフルな演出と共に再現した圧巻のシーンとなっている。
主役の脇を固めるのは、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベル、『ジュラシック・ワールド』シリーズのブライス・ダラス・ハワード、『シンデレラ』のリチャード・マッデンといった実力派キャスト勢の顔ぶれが揃う。
カンヌ国際映画祭でも『ロケットマン』は上映され、映画が終わると約5分以上のスタンディングオベーション。主演のタロン・エガートンとエルトン・ジョンのツーショットも見られた。タロン・エガートンはエルトンの曲について、「自分の人生の思い出の一部」と話している。
映画『ロケットマン』
原題:ROCKETMAN
公開日:2019年8月23日(金)
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:リー・ホール
製作:マシュー・ヴォーン
出演:タロン・エガートン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデン
全米公開:2019年5月31日(予定)
配給:東和ピクチャーズ