展覧会「モネとマティス─もうひとつの楽園」が、箱根のポーラ美術館にて、2020年6月1日(月)から11月3日(火・祝)まで開催される。
“楽園”への憧れ──急速な近代化やたび重なる戦争などにより社会の混乱が続いた19世紀から20世紀、美術や文学は“ここではないどこか”を追い求めようとした。そしてこの時代を代表する画家、モネとマティスにとって、その楽園とは“庭”や“室内”であった。
「モネとマティス─もうひとつの楽園」では、パリ郊外ジヴェルニーの睡蓮の池を繰り返し描いたクロード・モネと、アトリエを調度やテキスタイルで装飾して室内画を制作したアンリ・マティスに着目。約90点の作品を通して、彼ら2人がいかにして現実に“楽園”を生みだし、作品へと昇華したかをひもとく。
パリの風景画のみならずフランス各地での戸外制作を行っていたモネ。しかし19世紀後半、近代化が進むパリを離れて郊外のジヴェルニーへと移り住み、庭の造成をする。光の織りなす繊細なニュアンスを描きわけるモネにとって、自ら手を加えることのできる庭とは、自然の些細な変化にも対応できる理想的な環境であったのだ。
本展では、庭という地上の“楽園”でモネが描いた「睡蓮」シリーズを一挙公開。水面に映る光の揺らめきまでも捉えた、初期から晩年にいたる7点の油彩を展示する。そのほか、《ジヴェルニーの積みわら》などの風景画の数々も目にすることができる。
一方マティスは、当時の植民地主義を背景に異国趣味あふれる油彩画を制作。1921年以降は南仏ニースにアトリエを構え、調度やテキスタイルにより装飾し、さながら舞台のように創りあげた空間で室内画を手がけた。会場では、鮮やかな色彩で装飾的に構築された《リュート》や《鏡の前の青いドレス》など、重層的な室内空間をもつ作品の数々を楽しめる。
国内コレクションが少ないだけに、普段目にする機会の少ないマティス。日本では約10年ぶりの大規模展となる本展では、そうしたマティスの油彩画24点のみならず、晩年に手がけた切り絵による挿絵本やシルクスクリーン《オセアニア》なども展示する。
モネとマティスは、20世紀以降の美術にも大きな影響を及ぼすこととなった。本展では、カンディンスキーの《支え無し》といった抽象絵画、新収蔵作品であるブリジット・ライリーの《タブリーズ》やベン・ニコルソンの《セント・アイヴスの港(夏)、 1951年8月31日》などの近現代絵画を展示。モネやマティスに連なる、絵画の色彩や空間構成をめぐる展開を紹介する。
展覧会「モネとマティス─もうひとつの楽園」
会期:2020年6月1日(月)~11月3日(火・祝) ※展示替えあり
※当初は2020年4月23日(木)からの開幕を予定していたが、開催を延期
場所:ポーラ美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
TEL:0460-84-2111
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:会期中無休(展示替えによる臨時休館あり)
料金:大人 1,800(1,500)円、シニア(65歳以上) 1,600(1,500)円、大学・高校生 1,300(1,100)円、障害者手帳持参者および付添者(1名まで) 1,000円、中学生以下 無料
※( )内は15名以上の団体料金
※シニア割引、障害者手帳持参割引は、ほかの割引との併用は不可
※価格はすべて税込み
※各種講演会およびイベントの開催は見合わせ