本展では、“ネコの視点”のアイディアに基づいて神楽坂をリサーチした結果を展示。たとえば「テンテン」は、ネコにGPSをつけてその移動を記録したものだ。住んでいるカフェを中心に、餌をもらえるバーや料亭、昼寝をする寺内公園など、家以外にもいくつかの拠点を持ち、“半ノラ的”な行動を示している。これは、「ハコ」の外の「公共性」と通ずるものだ。
また、「ザラザラ」では、ガラスやコンクリートといった素材の「ツルツル」の神楽坂と、木材といった隈らの好む素材でできた「ザラザラ」の神楽坂での、ネコの振る舞いの違いをイメージ映像で紹介している。一方、「ミチ」では、屋根や塀を「斜め」に動くのはもちろん、地形のかすかな変化に応じてふらふらと揺れる足取りを可視化。それは、丹下が提案した“まっすぐ”な都市像とは異なる、“ジグザグ”と屈折するあり方の可能性である。
地面に足を接し、陽だまりで日向ぼっこをしてこたつに丸くなり、転々と場所を移しては自分にとって便利なノラ道を作りだす......そのような“ネコちゃん”の感覚が、これからの建築や都市のあり方を考える──もっと、「やわらかさ」や「粒子」の豊かなテクスチャーといった5原則の触覚性に引きつけるならば、「手探り」する──ヒントとなるのかもしれない。
企画展「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」
■東京展
会期:2021年6月18日(金)〜9月26日(日)
※当初は2020年7月17日(金)〜10月25日(日)の開催を予定していたが変更
会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜17:00 / 金・土曜日 10:00〜21:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(7月26日(月)、8月2日(月)・9日(月・振替休日)・30日(月)、9月20日(月・祝)は開館)、8月10日(火)、9月21日(火)
観覧料:一般 1,300円(1,100円) 、大学生 800円(500円)
※いずれも税込
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳の提示者と付添者(1名)は無料
※( )内は20名以上の団体料金
※本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション特別編 ニッポンの名作130年」、コレクションによる小企画「鉄とたたかう 鉄とあそぶ デイヴィッド・スミス《サークルIV》を中心に」を観覧可
※開催日程や出品内容が変更となる可能性あり(詳細および最新情報は美術館ウェブサイトにて確認)
■終了した会場
・高知展
会期:2020年11⽉3⽇(⽕・祝)〜2021年1⽉3⽇(⽇)
会場:⾼知県⽴美術館 (高知県高知市高須353-2)
・長崎展
会期:2021年1⽉22⽇(⾦)〜3⽉28⽇(⽇)
会場:⻑崎県美術館 (長崎県長崎市出島町2-1)