企画展「モノクロームの冒険 ─日本近世の水墨と白描─」が、東京・南青山の根津美術館にて、2020年9月19日(土)から11月3日(火・祝)まで、日時指定予約制で開催される。
東洋において“墨”は、文字を書くのみならず、絵画を描く材料として使用されてきた。こうした墨で描かれる絵画は、2種類に大別される。濃淡やぼかし、抑揚のある線描を駆使する水墨画と、主に均質な細い線で描かれる白描画だ。
企画展「モノクロームの冒険 ─日本近世の水墨と白描─」では、近世日本の作品を通して、墨の有する可能性を異なるかたちで追求してきた水墨と白描の技法、そしてそれらの表現の魅力を紹介する。
水墨画は、唐時代の中国で墨を使って大胆に描く人びとが登場し、墨がもつ表現の多様性が再認識されたことにより始まるとされる。日本には平安時代末期以降に伝わり、独自の発展を遂げた。本展では、コントラストのきいた表現が特徴の曾我宗庵《鷲鷹図屏風》や、巨大な画面に宋の詩人・蘇軾が長江の名勝で遊ぶ様子を、奔放な水墨技法で描いた長沢芦雪《赤壁図屏風》などを展示し、墨が織りなす多彩な表現を紹介する。
一方で白描画とは、そもそも着彩画に対する言葉であり、白い紙に黒い墨で描いたモノクロームの世界だ。日本には早くも奈良時代には伝わり、江戸時代には時に淡彩を加えつつも、澄みきった作品世界を展開した。会場では、江戸時代の画家・住吉具慶の筆と伝えられる、『源氏物語』の名場面集や、流麗な動きやニュアンスが特徴的な冷泉為恭の《納涼図》などを楽しめる。
企画展「モノクロームの冒険 ─日本近世の水墨と白描─」〈日時指定予約制〉
会期:2020年9月19日(土)〜11月3日(火・祝)
会場:根津美術館
住所:東京都港区南青山6‐5‐1
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(9月21日(月・祝)は開館)、9月23日(水)
入館料:一般 1100円(900円)、学生 800円(600円)、中学生以下 無料
※( )内は障害者手帳などの提示者および同伴者1名の料金
■日時指定予約制
・9月上旬より、根津美術館ホームページ上にて受付開始
・予約人数は上限4名(当面のあいだ団体予約の受付は中止)
【問い合わせ先】
TEL:03-3400-2536(代表)