展覧会「道草展:未知とともに歩む」が、茨城の水戸芸術館現代美術ギャラリーにて、2020年8月29日(土)から11月8日(日)まで開催される。
第二次世界大戦後、異常気象や環境汚染など、人間の営みが環境に与える影響が顕在化した。これに伴い、政治・経済に対して積極的な対策を求める声が上がるとともに、美術の領域でも、自然や環境への関心が沸き起こった。しかしながらその間にも、目先の開発や資源の利用、そして環境問題はなおも進行している。
「道草展:未知とともに歩む」は、植物への関心やフィールドワークの実践から生まれた現代美術作品を通して、人間と環境のつながりを探る展覧会だ。ロイス・ワインバーガーや上村洋一、露口啓二ら6組の現代アーティストの作品を取り上げ、ドローイングや写真、映像、インスタレーションなど、多岐にわたる表現を紹介する。
注目は、2020年4月に逝去したロイス・ワインバーガーの遺作《ワイルド・エンクロージャー》。ワインバーガーは、荒地に生植する植物に着目し、作品創作の過程でフィールドワークを重視した先駆的存在として影響を与えてきた。本展では、水戸芸術館広場の屋外インスタレーションとして構想されたこの作品などを展示する。
また、野外での録音を行い、人間と自然環境の関係性を探る上村洋一は、新作《息吹のなかで》を発表。知床半島の流氷を調査するなかで、流氷自体が生み出す音、海中生物の鳴き声などを捉え、それら多彩な音を混ぜ合わせることにより作られた“サウンドスケープ”が展示空間を満たす。
さらに、ある場所を繰り返し訪れ、そこに生じ続ける変化を写真で浮き彫りにする露口啓二が、代表的な連作「自然史」「地名」を再構成したインスタレーションを展開。ほかにも、歴史記述などからこぼれ落ちる要素に目を向けた空間作品を手掛けるウリエル・オルローら海外作家の日本初公開作品も紹介する。
植物にまつわる歴史や人ならざる存在に着目してきたこれらの試みからは、“自然”と、人間を取り巻く“第二の自然”としての社会的構造のあいだに現れる、矛盾やねじれへの批判的なまなざしを感じられるだろう。
展覧会「道草展:未知とともに歩む」
会期:2020年8月29日(土)〜11月8日(日)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(9月21日(月・祝)は開館)
入場料:一般 900円
※高校生以下・70歳以上(学生証・年齢のわかる身分証明書を要持参)、障害者手帳などの所持者と付添1名は無料
※学生とシニアための特別割引デー「First Friday」:学生証の所持者とシニア(65〜69歳)は、毎月第一金曜日(9月4日、10月2日、11月6日)に100円
※会期などは変更となる場合あり
■出品作家
上村洋一、ロー・ヨクムイ、ミックスライス、ウリエル・オルロー、露口啓二、ロイス・ワインバーガー
【問い合わせ先】
水戸芸術館代表
TEL:029-227-8111