「第72回 正倉院展」が、2020年10月24日(土)から2020年11月9日(月)まで、奈良国立博物館にて開催される。
2020年の開催で第72回を迎える「正倉院展」は、毎年約9,000件にも上る正倉院の宝物から59件をピックアップして公開。今回の展示では、薬物と武器・武具がまとまって出陳されるのが特徴だ。
東大寺を建立した聖武天皇の四十九日にあたる日に、その后である光明皇后は病で苦しむ人々を救済するために、60種もの薬物を大仏に献納した。今回出陳される「五色龍歯(ごしきりゅうし)は、この時献納された薬物のうちの1つ。「龍歯」と呼ばれるが実際は象の歯の化石であり、鎮静などの薬効があるとして漢方薬として用いられる。
光明皇后が献納した薬物は「五色龍歯」を含め6種が登場し、その他由緒不明の薬物2種も出陳される。
また、薬物が献納されたのと同じ日に、光明皇后は聖武天皇の遺愛品600件以上を献納。その内400件を占める武器・武具から、今回の展示には大刀(たち)、胡禄(ころく)、梓弓(あずさゆみ)、鉾(ほこ)、馬鞍(うまくら)などが揃い、古代の武人の装いを伺い知ることができる。
騎馬の際に用いられる馬鞍は、高度な木工技術を用いて曲線的に仕上げた座面や、華やかさを添える皮革のパーツを組み合わせて仕立てられた1品。奈良時代の馬具の実態を伝える貴重な遺品となっている。
加えて、染色や、ガラス玉や真珠などを飾る珠玉飾り、螺鈿(らでん)など、華やかな工芸技法を用いた宝物を鑑賞できるのも今回の「正倉院展」の魅力。花の文様を配したフェルトの敷物「花氈(かせん)」は、近年の調査によってその製作過程が明らかに。中央アジアなどに残る伝統的技法と共通していることが指摘されている。
この他、獅子や犀を小花模様で囲み、鳥、唐花文様で賑やかに埋め尽くした螺鈿飾りの鏡「平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)」や、珍しい材料を用いて、山水と写実的な鳥を描いた琵琶、鞘を珠玉で装飾した刀子(とうす)、曲芸や楽器を演奏する人物などを細かく墨で描写した弓などが登場。芸術的な魅力に満ちた宝物の数々に注目だ。
【詳細】
第72回 正倉院展
会期:2020年10月24日(土)~2020年11月09日(月)
会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50番地
時間:9:00~18:00
※金曜日、土曜日、日曜日、祝日(11月3日)は20:00まで
※入館は閉館の60分前まで
休館日:会期中無休
※観覧には、前売日時指定券が必要。当日券の販売はなし。
■観覧チケット(前売日時指定券)
発売日:9月26日(土)10:00~ ※売り切れ次第販売終了。
販売場所:ローソンチケット [Lコード:57700](ローソン・ミニストップ各店舗、ホームページ)、チケットぴあ [Pコード:763-373](電話受付 TEL:0570-02-9999、ホームページ、セブン-イレブン各店舗)
※予約・発券には、各種手数料が必要となる場合あり。奈良国立博物館チケット売場での販売はなし。
※読売新聞オンラインチケットストアで9月26日(土)~10月6日(火)の期間抽選販売。
観覧料:
・通常券(一般) 2,000円、(中・高・大) 1,500円
・割引券(一般) 1,900円、(中・高・大) 1,400円
・キャンパスメンバーズ券 教職員 1,900円、学生 400円
※障害者手帳持参者(介護者1名を含む)・小学生・奈良博プレミアムカード会員(1回目及び2回目の観覧)・各種協会(国際博物館会議(ICOM)、日本博物館協会、美術評論家連盟(AICA))会員は無料。該当する場合、無料観覧券の予約・発券が必要。
※未就学児の場合、無料観覧券の予約・発券は不要。
※団体料金なし。
※前売日時指定券は、開館時間から原則1時間毎に約260名の枚数制限の上販売。
※1回につき、4枚まで購入可能。
※通常券(中・高・大)を購入した場合、観覧当日に学生証などの提示が必要。
※割引券・キャンパスメンバーズ券・無料観覧券を購入した場合、観覧当日に証明書・会員証などの提示が必要(小学生を除く)。
※観覧当日に各種証明書などを提示できない場合は通常券料金との差額支払いが必要。
※前売日時指定券のみでは、名品展(なら仏像館・青銅器館)は観覧不可。
【問い合わせ先】
TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)