東京・根津美術館の企画展「花を愛で、月を望む─日本の自然と美─」が、2021年8月1日(日)からの臨時休館に伴い閉幕。当初は8月22日(日)までの会期を予定していた。
古来、日本の人びとは自然に親しみ、時の移ろいを鋭敏に捉えてきた。鳥の声や虫の音に季節の到来を感じ、風に散る桜や色づく紅葉、満ち欠けを繰り返す月にも移ろう美を見てとった。そうした感性は、数多く詠まれた和歌や、自然の姿を造形化した美術作品にも結実しているといえよう。
企画展「花を愛で、月を望む─日本の自然と美─」では、四季の草花や月など、自然の風物が表現された絵画や工芸、そして和歌を記した巻物や冊子を切断・分割した古筆切(こひつぎれ)などを展示し、季節や自然を愛でる繊細な感性を紹介する。
花を愛でる心は梅や桜といった花木にとどまらず、野に広がる小さな草花にも向けられた。四季の花々を季節の順に描いた「四季草花図屏風」には、春の薊(あざみ)から冬の南天まで、約70種類の植物が表現されている。絵物語において季節の花々は、場面の設定を明瞭に伝える役割を果たす一方で、四季の花が同時に咲きそろう画面は特殊な空間を創出し、浄土や異界を連想させるものであったのだった。
また、月は時計や暦の役割を担い、人びとにとって身近な存在であった。「中秋の名月」のように秋の風物としてその美を愛でられる一方、日ごとに姿を変える様子には、生命力の移ろいを感じさせる秋への哀愁も重ねられた。本展では、右隻に沈みゆく太陽を、左隻に顔を出した月を描いた「武蔵野図屏風」などを展示する。
企画展「花を愛で、月を望む─日本の自然と美─」
会期:2021年7月22日(木・祝)~7月31日(土)
※当初は8月22日(日)までの予定であったが、8月1日(日)からの臨時休館に伴い閉幕
会場:根津美術館
住所:東京都港区南青山6-5-1
休館日:月曜日
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
入館料:一般 1,300円(1,100円)、学生 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※オンラインでの日時指定予約制
※( )内は障害者手帳提示者および同伴者1名の料金
※オンライン日時指定予約の定員に空きがある場合のみ、当日券(一般1,400円)を美術館受付にて販売
■日時指定予約制
・来館前日までに根津美術館ホームページ上にて日時指定券を購入(クレジットカード決済のみ)
・根津倶楽部会員、招待はがきを所持していて入館無料の場合も予約が必要
【問い合わせ先】
根津美術館
TEL:03-3400-2536 (代表)