展覧会「大英博物館 北斎─国内の肉筆画の名品とともに─」が、東京・六本木のサントリー美術館にて、2022年4月16日(土)から6月12日(日)まで開催される。
江戸時代後期を代表する浮世絵師・葛飾北斎は、世界でもっとも著名な日本人芸術家のひとりだ。北斎の作品は、フランスを中心とするジャポニスムや、モネ、ドガ、ファン・ゴッホといった印象派・ポスト印象派の画家への影響がよく知られているが、イギリスでも長く愛好されており、とりわけ北斎の優品を多数収蔵する大英博物館のコレクションは、世界でも屈指の質の高さを誇っている。
展覧会「大英博物館 北斎─国内の肉筆画の名品とともに─」では、大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品とともに、北斎の画業の変遷を紹介。北斎の作画活動は約70年にも及ぶが、本展では特に60歳から、90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を合わせ、その代表作の数々を展示する。
「冨嶽三十六景」をはじめ、北斎の揃物(連作)の名品は、その多くが70歳を過ぎてから制作されている。本展では、大英博物館が所蔵する揃物の優品を一挙公開。北斎作品のなかでもとりわけよく知られる《神奈川沖浪裏》や《凱風快晴》などから構成され、北斎の画業の集大成となる「冨嶽三十六景」を筆頭に、「諸国瀧廻り」や「諸国名橋奇覧」など、独特の風景描写に特徴付けられた作品を目にすることができる。
北斎は、対象をつぶさに観察して“もののかたち”を的確に捉えることに秀でていたが、想像力にも富んでいた。たとえば風景画の揃物「諸国瀧廻り」には、自身が訪れたことのない名所を頭の中に思い描き、それをいわば具現化した作品も含まれている。また、自由な発想で文学的なイメージを膨らませるばかりか、信仰や幻想といった目には見えないテーマも現実感のある描写に仕上げている。会場では、《小野小町》や《百物語 こはだ小平二》など、想像力を駆使して生み出されたイメージの数々を紹介する。
さらに本展では、北斎の優れた画力と豊かな想像力が発揮された肉筆画も展示。版元のもとで絵師・彫師・摺師の協働により制作される浮世絵版画とは異なり、肉筆画は絵師の息遣いが直に感じ取れる点に特徴がある。北斎の肉筆画制作のピークは、40代から50代半ばと、75歳ごろから没年までの2期であり、前者では優れた美人画が、後者では多様な画題に挑んだ意欲作が数多く生み出された。会場では、代表作《流水に鴨図》や、晩年期の作品では最大級の《弘法大師修法図》など、壮年期から最晩年に至る肉筆画の名品を楽しむことができる。
展覧会「大英博物館 北斎─国内の肉筆画の名品とともに─」
会期:2022年4月16日(土)~6月12日(日) 作品保護のため、会期中に展示替えを実施
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
開館時間:10:00~18:00
※金・土曜日および4月28日(木)、5月2日(月)~4日(水・祝)は20:00まで開館
※いずれも入館は閉館30分前まで
休館日:火曜日(5月3日(火・祝)、6月7日(火)は開館)
入館料:
・当日券=一般 1,700円、大学・高校生 1,200円、中学生以下 無料
・前売券=一般 1,500円、大学・高校生 1,000円
※チケットは、サントリー美術館受付、サントリー美術館公式オンラインチケット、ローソンチケット、セブンチケットにて取扱
※前売券は、1月26日(水)から4月15日(金)まで販売
※サントリー美術館受付での販売は開館日に限る
※会期、開館時間などは変更となる場合あり(最新情報については美術館ホームページを確認のこと)
【問い合わせ先】
TEL:03-3479-8600