企画展「(仮称)地域交流センター開館記念展 名和晃平 生成する表皮」が、青森の十和田市現代美術館、および2022年9月、十和田市に開館する(仮称)地域交流センターにて開催される。会期は、十和田市現代美術館では2022年6月18日(土)から11月20日(日)まで、(仮称)地域交流センターでは10月1日(土)から11月20日(日)までを予定。
名和晃平は、京都を拠点に活動している彫刻家だ。名和は、感覚に接続するインターフェースとして彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)で世界を認識するという独自の概念のもと、ガラスや液体などの多彩な素材や技法を用いて、彫刻の新たなあり方を探っている。
たとえば、名和が2021年より寄託作品として十和田市現代美術館に展示している《PixCell-Deer#52》は、透明な球体(=セル)が鹿の剥製の表面を覆った立体的な彫刻作品であるとともに、セルのレンズ効果により分解され、歪んだ剥製の表面が、鑑賞者の視点の移動に伴って変化する映像的な作品でもある。
企画展「名和晃平 生成する表皮」は、日本国内の美術館では10年ぶりとなる名和の個展。代表作である「PixCell」シリーズを筆頭に、大学院生時代のドローイングシリーズ「Esquisse」から新作「White Code」シリーズまで、名和の活動の変遷をたどってゆく。
本展では、美術館では初展示となる「White Code」シリーズの新作を公開。「White Code」は、秒速1cmほどの速さで移動する支持体の上を、粘度を調整した絵具が雫のように滴りおちる作品だ。麻の表面に載った絵具の粒子は、そのボリュームを維持しつつも、時として広がり、互いに結び付いては不規則に変化する。モールス符号やドット配列を彷彿とさせる同作は、デジタル信号のようでありながらも確かな物質性を伴っており、感覚がつなぐ情報と意味のはざまの領域を示すものだといえる。
また、会場では、本展のために制作された最新作《Biomatrix (W)》を初公開。同作は、真珠のような輝きと高い粘度を持つシリコーンオイルの界面に、気泡(セル)がグリッド状に絶えず沸き起こる作品だ。その粘度の高さゆえに気泡はゆっくりと弾け、その速度の遅さが、視覚を麻痺させるかのような感覚をもたらすことになるだろう。
さらに、本展の作品は、十和田市のまちなかに9月に開館する(仮称)地域交流センターでも展示。名和晃平の版画作品「Array - Black」シリーズの《Dot》 や《Line》の平面作品を展示する予定だ。
企画展「(仮称)地域交流センター開館記念展 名和晃平 生成する表皮」
■十和田市現代美術館
会期:2022年6月18日(土)〜11月20日(日)
住所:青森県十和田市西二番町10-9
開館時間:9:00〜17:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)
観覧料:一般 1,800円(常設展込み)、高校生以下 無料
※休館日などの最新情報については、美術館ウェブサイトを確認のこと
■(仮称)地域交流センター
会期(予定):2022年10月1日(土)〜11月20日(日)
開館時間(予定):9:00〜17:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)
※美術館の休館日に準ずる
観覧料:無料
【問い合わせ先】
十和田市現代美術館
TEL:0176-20-1127