企画展「百瀬文 口を寄せる」が、青森の十和田市現代美術館にて、2022年12月10日(土)から2023年6月4日(日)まで開催される。

新作サウンド・インスタレーションを初公開

百瀬文(ももせ あや)は、1988年東京生まれの美術家だ。映像やパフォーマンスを中心にインスタレーションといったさまざまな手法を用い、他者とのコミュニケーションにおいて生じる不均衡をテーマに、セクシュアリティやジェンダー、身体にまつわる問題を追究してきた。

個展「百瀬文 口を寄せる」では、女性声優をテーマとした新作サウンド・インスタレーション《声優のためのエチュード》を初公開。また、同作が主題としている「声」に着目し、関連する過去の作品もあわせて紹介する。

女性声優をテーマとした新作を初公開

新作《声優のためのエチュード》は、初のサウンド・インスタレーション作品であり、百瀬が以前から関心を抱いていた女性声優をテーマとしている。人びとがアニメーションのキャラクターを見るとき、声優の姿はあくまで目には見えず、声優の声を生身の身体に結びつけようとした途端、キャラクターとしての声は崩れ去ることになる。そして、日本では伝統的に少年キャラクターの声を女性声優が演じてきたことにも見るように、声と性別の関係性は流動的なものである。

薄暗い空間で展開される《声優のためのエチュード》では、アニメーションは流れず、ただ「声」だけがそこに響く。通常ならば、映像で示されるキャラクターの容姿や仕草からその性別を読み取ることができるものの、本作では映像から「声」は切り離され、性別の定まらない存在として表現されることになる。会場では、このようにして徐々に浮かびあがる、女性声優の流動的な存在にふれることができるだろう。

「声」にまつわる過去作品なども紹介

また、本展では、「声」にまつわる百瀬の過去作品なども紹介。耳の聞こえない女性と耳の聞こえる男性の触れ合いで生じるすれ違いを映しだす《Social Dance》や、百瀬の父親が百瀬の書いた173の質問に口頭で答えるなかで、その回答が父親の意志から次第に離れてゆくさまを捉えた《定点観測(父の場合)》などを展示するほか、新作の平面作品《Interpreter》も公開予定だ。

展覧会概要

企画展「百瀬文 口を寄せる」
会期：2022年12月10日(土)〜2023年6月4日(日)
会場：十和田市現代美術館
住所：青森県十和田市西二番町10-9
開館時間：9:00〜17:00(入場は閉館30分前まで)
休館日：月曜日(祝日の場合はその翌日、ただし1月2日(月・振替休日)は臨時開館)、12月27日(火)〜1月1日(日・祝)、1月10日(火)〜19日(木)
※2023年4月以降の臨時開館および休館日については、追って美術館ウェブページにて告知
観覧料：一般 1,800円、高校生以下 無料

【問い合わせ先】
十和田市現代美術館
TEL：0176-20-1127