東京・上野の国立西洋美術館がリニューアルオープンする。
印象派の絵画とロダンの彫刻を中心とするフランス美術コレクションを軸に、西洋美術作品を紹介する美術館として、1959年に開館した国立西洋美術館。2020年10月から2022年4月に至る休館期間に、フランスの建築家ル・コルビュジエの設計による前庭のリニューアルを行った。
開館以来、国立西洋美術館の前庭は美術館としての機能向上を目的に、たびたび改変が行われてきた。しかしその結果、当初の前庭の設計意図が部分的に損なわれていることにもなった。今回のリニューアル工事では、地下にある企画展示室の屋上防水を更新することに合わせて、ル・コルビュジエの本来の設計意図が正しく伝わるよう、前庭を本館開館時の姿へと可能なかぎり戻した。
国立西洋美術館の本館開館時、正門は上野公園の噴水広場に面した西側に位置していた。広いオープンスペースとして設計された前庭は、外部との連続性を確保するために透過性のある柵で覆われていた。また、前庭の床面には、西側の正門とロダンの《地獄の門》を結ぶ線と、その途中で直角に曲がり本館へと誘う線が引かれており、人の動きを誘導するかのような役割を果たしていた。
今回の前庭リニューアルでは、植栽を最小限に留め、西側の門からのアプローチと開放的な柵、そしてロダンの彫刻作品《考える人》と《カレーの市民》の位置を、可能なかぎり当初の状態に戻した。また、ル・コルビュジエが人体の寸法と黄金比をもとに考案した尺度「モデュロール」で割りつけられた床の目地も、細部にわたって復原している。
また、リニューアルオープンに伴い、国立西洋美術館本館の「19 世紀ホール」を無料開放。本館の中心に設けられた吹き抜けの大空間である「19 世紀ホール」は、中心に核となる部屋をつくり、展示スペースを外側に増築してゆくというル・コルビュジエのコンセプト「無限成長美術館」を反映したものだ。ル・コルビュジエならではの建築空間と、柔らかな光が差し込むなかに展示されたロダンの彫刻作品を、心ゆくまで楽しみたい。
国立西洋美術館のリニューアルオープンに合わせて、2022年9月19日(月・祝)まで、小企画展「調和にむかって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジ ─ 大成建設コレクションより」を開催。本展では、人間と機械、感情と合理性、そして芸術と科学の調和を目指した、初期とは方向性が大きく異なるル・コルビュジエの芸術傾向に焦点を合わせ、晩年の絵画や素描を紹介する。
国立西洋美術館 リニューアルオープン
リニューアルオープン日:2022年4月9日(土)
場所:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は9:30~20:00)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(祝日・休日の場合は翌平日が休館)、年末年始(12月28日〜翌年1月1日)
※臨時に開館・休館する場合あり(詳細については美術館ホームページを確認のこと)
常設展観覧料:一般 500円(400円)、大学生 250円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金(オンラインにて要事前予約)
※本館「19 世紀ホール」は当面の間観覧無料
※その他詳細は美術館ホームページを参照
■小企画展「調和にむかって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジ ─ 大成建設コレクションより」
会期:2022年4月9日(土)〜9月19日(月・祝)
会場:国立西洋美術館 新館1階 第1展示室
※常設展の観覧券、または展覧会「国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」展の観覧当日にかぎり、同展観覧券で観覧可
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)