テリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラー《エイト》2001年 ビデオ
3分35秒(ループ) Courtesy: Tanya Bonakdar Gallery, New York
2014年5月31日(土)から8月31日(日)まで、六本木ヒルズの森美術館において、「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」が開催される。展覧会は、その後、名古屋市美術館、沖縄県立博物館・美術館、高知県立美術館と巡回していく。
19世紀末、ニューヨークの貧しい移民の暮らしを取材した写真家、ジェイコブ・A・リース。彼は、英語が不自由な両親の橋渡しとしてさまざまな用務をこなす移民の子どもたちを「ゴー・ビトゥイーンズ(媒介者)」と呼んだ。
本展ではそうした、異なる文化の間、現実と想像の世界の間など、様々な境界を自由に行き来する子供の性質に注目、世界各国の優れたアーティスト26組の作品を紹介。子どもの視点を通じてはじめて気づかされる、彼らが直面する政治・家族・文化的諸問題の数々、あるいは、大人の常識や伝統の枠組みにとらわれない子どもの創造性と、夢や遊び心に満ちた多様な感覚に迫っていく。
みどころのひとつは、貴重な歴史資料。アメリカのフォトジャーナリズムの草分けであるジェイコブ・A・リースやルイス・W・ハインによる19世紀末から20世紀初頭の写真や、第二次世界大戦中にカリフォルニア州の日系アメリカ人収容所の様子を写した宮武東洋の写真などを展示する。参加するのは、オランダで国民的な人気を誇るフォトグラファーのリネカ・ダイクストラや、アジアのアートシーンを牽引するアーティストのひとり、ウォン・ホイチョン。そして昨年、パレスチナを舞台とする映画『自由と壁とヒップホップ』の日本公開をうけ話題となったスヘール・ナッファール&ジャクリーン・リーム・サッロームなど、気鋭のアーティストばかり。
そのほかにも会場では、子どもを取り巻く社会問題を考えるレクチャーやディスカッションプログラムが催される他、世界の子どもをテーマにした映画も上映される。
またフランスの老舗高級子供服ブランド「ボンポワン(Bonpoint)」の協力のもと、「子どもキャプション・プロジェクト」を行う。これは6月14日(土)に開催されるワークショップで子どもたちが展示作品の中から好きな作品を選び、自分たちの言葉で作品のキャプション(解説ラベル)を作るというもの。そこで作られたキャプションの一部は、実際に7月下旬から展示室で掲示される。
さらにボンポワンは子どもたちが本展をより楽しむためのサポートツールとして、森美術館と協力し「キッズ・ワークシート」を制作。展示作品から厳選した6点の図版を掲載し、それぞれの作品について自由に感想を書き込めるミニブック形式となっている。このワークシートは会期中、展示室入口で配布するほか、全国のボンポワンブティックでも配布される。
環境に翻弄される存在でありながら、行き詰った状況の突破口にもなりうる子どものポテンシャル。それはもしかすると、より多様な価値が共存できる新たな世界の可能性を示唆する、未来への鍵となるかもしれない。
【概要】
ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界
会期:2014年5月31日(土)~8月31日(日) ※会期中無休
時間:10:00~22:00 (火曜日17:00まで)
場所:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
料金:一般 ¥1,500、高校・大学生 ¥1,000、4歳~中学生 ¥500
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
■巡回スケジュール
名古屋市美術館:2014年11月8日(土)~12月23日(火)
沖縄県立博物館・美術館:2015年1月16日(金)~3月15日(日)
高知県立美術館:2015年4月5日(日)~6月7日(日)
■子どもキャプション・ワークショップ
日時:2014年6月14日(土) 14:00~17:00
会場:森美術館展示室内
対象:小学生
定員:30名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
申し込み:森美術館ウェブサイト www.mori.art.museum