企画展「麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」が、東京の世田谷美術館にて、2023年4月22日(土)から6月18日(日)まで開催される。
麻生三郎(あそう さぶろう)は、現代における人間像を鋭く捉えた作品を手がけた、戦後日本を代表する画家だ。企画展「麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」では、麻生が世田谷・三軒茶屋に住んだ1948年から72年までの約25年間に着目し、この時期の代表作を含む油彩画や素描を紹介する。
1913年東京に生まれた麻生は、38年の渡仏からの帰国後、豊島区長崎のアトリエ村に住み、福沢一郎や北脇昇らと前衛美術団体「美術文化協会」を結成。43年には、自由な表現を求めて、松本竣介や靉光などとともに「新人画会」を結成している。しかし、太平洋戦争末期の空襲により、豊島区長崎のアトリエを失った。
1948年、麻生は世田谷区三軒茶屋にアトリエを構え、この地で51年の《ひとり》や、50年代半ばにおける《赤い空》の連作などの代表作を手がけている。60年代には、安保闘争やベトナム戦争などの社会問題に対して、絵を描くことによって対峙する一方、虫や小鳥といった身近なものにも目を向けている。しかし、首都高速道路や地下鉄の建設工事で制作環境が悪化したことにより、72年、麻生は川崎市多摩区生田へと転居した。
本展では、麻生の三軒茶屋時代に焦点を合わせ、《ひとり》や《赤い空》、《人》など、約110点の油彩画や素描などを展示。加えて、当時の多彩な活動にも光をあて、野間宏や椎名麟三といった文学者たちとの交流を示す挿絵原画なども紹介する。
また、麻生はこの時期、20世紀アメリカを代表する社会派の画家ベン・シャーンに関心を抱き、その作品を蒐集している。会場では、その人生の集大成とされる版画集『リルケ「マルテの手記」より 一行の詩のためには…』全24点を含む、麻生旧蔵の作品も目にすることができる。
企画展「麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」
会期:2023年4月22日(土)〜6月18日(日)
会場:世田谷美術館 1階展示室
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(5月1日(月・祝)は開館)
観覧料:一般 1,200円、65歳以上 1,000円、高校・大学生 800円、小・中学生 500円
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)