企画展「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」が、東京都現代美術館にて、2023年12月9日(土)から2024年3月10日(日)まで開催される。
豊嶋康子(とよしま やすこ)は、1967年に生まれ、1990年より30年以上にわたって活動してきた美術作家だ。企画展「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」は、その制作の全貌に光をあてる、美術館初の大規模個展となる。
豊嶋は、人々を取り巻くさまざまな制度や価値観、約束ごとに対して、「私」の視点から向き合ってきた。経済活動から学校教育、ものの仕組み、そして日常の行為にいたるまで、人々に内面化されてきた思考や枠組みを、「私」自身が感じる違和感や関心を起点に捉え直すことによって、人の思考の枠組みがどのように形成され、社会と自己がいかにして成り立っているのかを問うてきたのだ。
1990年に豊嶋が手がけた《エンドレス・ソロバン》や《鉛筆》などの作品は、ものの使用法や構造に従いつつ、その機能を宙吊りにするものであった。そして、1990年代後半からは、着目する「表現」の領域を拡大。銀行での口座開設や株式の購入、生命保険への加入など、社会・経済活動そのものを素材に、特的のシステム全体を「私」という1点から捉え直すような《口座開設》などを発表している。
このように多彩な豊嶋の作品は、いずれも、既成の仕組みや枠組みなどに沿いつつ、「私」という視点から異なる見方をさし挟み、本来の意味の働きを脱臼させることで、システムの構造と人々の認識の「発生」を捉えるものだといえる。
本展では、初期作品から新作にいたる約400点の作品を一堂に集め、30年におよぶ豊嶋の制作を紹介。なかでも、1990年に発表されたデビュー作、《マークシート》と《エンドレス・ソロバン》は、全面修復のうえで33年ぶりの公開となる。
企画展「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」
会期:2023年12月9日(土)〜2024年3月10日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F
住所:東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(1月8日(月・祝)、2月12日(月・祝)は開館)、12月28日(木)〜1月1日(月・祝)、1月9日(火)、2月13日(火)
観覧料:一般 1,400円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,000円、中学・高校生 600円、小学生以下 無料
■同時期開催
・企画展「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」
会期:2023年12月2日(土)〜2024年3月3日(日)
・コレクション展「MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020/特集展示 横尾忠則─水のように/生誕100年 サム・フランシス」
会期:2023年12月2日(土)〜2024年3月10日(日)
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)