山梨の平山郁夫シルクロード美術館では、開館20周年記念展「平山郁夫 ─仏教伝来と旅の軌跡」を、2024年3月23日(土)から9月9日(日)まで開催する。
平山郁夫(ひらやま いくお)は、戦後日本を代表する日本画家のひとりだ。1959年、《仏教伝来》で画壇にデビューした平山は、日本文化の源流を探るべくシルクロード各地を旅し、シルクロードや仏教、日本の風景などを題材として数多くの作品を残した。また、文化財保護活動にも尽力している。
「平山郁夫 ─仏教伝来と旅の軌跡」展は、平山の作品や資料を所蔵する平山郁夫シルクロード美術館の開館20周年を記念して開催される展覧会。画業の起点となった《仏教伝来》をはじめとする初期作や、シルクロード各地を題材とした作品などを、全4章構成で紹介する。
1930年広島に生まれた平山は、熱心な仏教徒の家庭で育った。また、少年時代に被曝を体験したこともあり、生涯にわたって仏教と祈りをテーマに数々の作品を手がけている。第1章では、《仏教伝来》での画壇デビュー後に制作された、釈迦の生涯を描いた仏伝シリーズを紹介する。
平山が初めてシルクロードを旅したのは、1968年のこと。その前年、平山は法隆寺金堂壁画の再現模写に携わっている。シルクロードへの旅は、こうして関心を抱いた仏教美術の始まりを探り、日本文化の源流をたどるためのものであった。そして、この旅を契機に、平山はシルクロード周辺諸国を繰り返し訪れ、そこで出会った人々、異国の景色、砂漠や遺跡などを題材に作品を発表してゆくようになる。第2章では、《熱砂塵黒》や《朧月夜 ブルーモスク》など、シルクロードにまつわる作品を目にすることができる。
平山はシルクロードの画家として知られるものの、日本の山河、神社や寺院、伝統的な花鳥風月などの絵画も数多く手がけている。第3章では、豊かな水と緑へのみずみずしい情緒を感じられる、日本の風景を描いた作品に着目。大作《流水間断無(奥入瀬渓流)》、初期の名作《游魚》や《尾長鳥》などを展示する。
第4章は、1959年のデビュー作《仏教伝来》の制作背景に光をあてるもの。制作当時、経済的に厳しい状況にあり、被曝の影響で体調が悪化するなか、平山は死への不安に追い詰められるようにして《仏教伝来》を制作したという。会場では、同作のための習作や下図、スケッチなどを展示するほか、5月9日(木)から9月9日(月)まで、1960年に発表された《天山南路 夜》を公開する。
開館20周年記念 山梨放送開局70周年「平山郁夫 ─仏教伝来と旅の軌跡」
会期(予定):2024年3月23日(土)~9月9日(日) 会期中無休
会場:平山郁夫シルクロード美術館 1F 第2・3・5展示室、2F 第6展示室
住所:山梨県北杜市長坂町小荒間2000-6
開場時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
入館料:一般 1,200円、高校・大学生 800円、小・中学生 無料
※5月9日(木)より一部展示替え
※画像写真の無断転載を禁ずる。
【問い合わせ先】
平山郁夫シルクロード美術館
TEL:0551-32-0225