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“装うことの欲望”に迫る展覧会が京都国立近代美術館で - ギャルソン・シャネル・マルジェラなどを展示

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特別展「LOVE ファッション—私を着がえるとき」が、京都国立近代美術館にて、2024年9月13日(金)から11月24日(日)まで開催される。その後、熊本市現代美術館、東京オペラシティアートギャラリーに巡回する。

装うことの情熱と願望

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(部分) フランス 1775年(テキスタイル 1760年代)
© 京都服飾文化研究財団 撮影:畠山崇
ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(部分) フランス 1775年(テキスタイル 1760年代)
© 京都服飾文化研究財団 撮影:畠山崇

衣服を着ることとは、人々にとって欠かすことのできない営みである。こうして長い歴史のなかで生みだされてきた装いには、人々の欲望が潜んでおり、憧れや熱狂、矛盾とともに表出されることがある。たとえば、富や権力を象徴する毛皮は、現在では動物保護の観点から避けられる一方、その手触りを手放せないという、両儀的な側面を孕んでいる。

Gaultier Paris by sacai アンサンブル 「I Gaultier under my skin」 2021年秋冬
© 京都服飾文化研究財団 撮影:守屋友樹
Gaultier Paris by sacai アンサンブル 「I Gaultier under my skin」 2021年秋冬
© 京都服飾文化研究財団 撮影:守屋友樹

特別展「LOVE ファッション—私を着がえるとき」は、ファッションを人々の情熱や願望=「LOVE」を受け止める存在として捉え、服を着ることの意味を再考する展覧会。18世紀から現代にいたる衣服作品、アート作品を通して、ファッションとの関わりにおいて見られる「LOVE」のさまざまなかたちを紹介する。

18世紀から現代にいたる衣服を公開

Loewe (ジョナサン・アンダーソン) ドレス(部分) 2022年秋冬
© 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛
Loewe (ジョナサン・アンダーソン) ドレス(部分) 2022年秋冬
© 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛

会場では、18世紀から現代までの衣服を展示。華やかな花柄が広がる18世紀のドレスをはじめ、ガブリエル・シャネルやカール・ラガーフェルドによるシャネル、クリスチャン・ディオールやジョン・ガリアーノによるディオール、クリストバル・バレンシアガやデムナ・ヴァザリアによるバレンシアガラフ・シモンズによるジル サンダー、そしてコム デ ギャルソンヨウジヤマモトノワール ケイ ニノミヤマメ クロゴウチといったブランドを取り上げ、作る側と着る側の「LOVE」から生まれた装いの数々を紹介する。

「綺麗になりたい」と造形

Christian Dior (クリスチャン・ディオール) イヴニング・ドレス 1951年春夏
© 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛
Christian Dior (クリスチャン・ディオール) イヴニング・ドレス 1951年春夏
© 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛

たとえば、人々は「綺麗になりたい」という願いから、多様な装いと流行を作ってきた。こうした欲望は時として、極端な造形を生みだしてきた。膨張するかのような袖、締め上げられてS字型になったウエスト、あるいは歩けないほどに広がるスカートなどが、その例だ。本展では、19世紀の身体美の要を担ったコルセット、バレンシアガやディオールのオートクチュールに加えて、斬新なシルエットを追求するヨウジヤマモトやジル サンダーといった現代のファッションを紹介する。

「自由になりたい」思いを衣服に

Comme des Garçons (川久保玲) トップ、パンツ 2020年春夏
© 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛
Comme des Garçons (川久保玲) トップ、パンツ 2020年春夏
© 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛

あるいは、「自由になりたい」という思い。人の「自分らしさ」は、国籍や階級など、さまざまなアイデンティティによって形作られるものだ。こうした「らしさ」から逃れたいという願望は、時に衣服に込められる。実際、ヴァージニア・ウルフは小説『オーランドー』において、性や身分を超えて主人公が変身する物語を、衣服を「着がえる」描写とともに紡いでいる。会場では、この小説に着想し、川久保玲が手がけた「オーランドー」3部作を一挙公開。コム デ ギャルソン・オム プリュスの2020年春夏コレクション、コム デ ギャルソンの2020年春夏コレクション、そして川久保が衣装デザインを担当したウィーン国立歌劇場でのオペラ作品《Orlando》を紹介する。

人間の姿をめぐる現代アートも

AKI INOMATA 《やどかりに「やど」をわたしてみる —Border—》 2010/2019年 京都国立近代美術館蔵
©AKI INOMATA
AKI INOMATA 《やどかりに「やど」をわたしてみる —Border—》 2010/2019年 京都国立近代美術館蔵
©AKI INOMATA

また、本展では、人間の欲望に光をあてる現代アート作品も紹介。身近な友人との日常を捉え、ありのままに生きることを肯定するヴォルフガング・ティルマンスの写真や、背負う貝殻を変えるヤドカリの姿に人間の姿を重ねるAKI INOMATAの作品などを通して、さまざまな願望や葛藤を抱えつつ現代を生きる「私」という存在の多様なあり方に光をあててゆく。

展覧会概要

特別展「LOVE ファッション—私を着がえるとき」
会期:2024年9月13日(金)〜11月24日(日)
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00閉館)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(9月16日(月・祝)・23日(月・振)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・振)は開館)、9月17日(火)・24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
観覧料:一般 1,700円(1,500円)、大学生 1,100円(900円)、高校生 600円(400円)
※( )内は前売および20名以上の団体
※前売券は、7月13日(土)から9月12日(木)まで、美術館ホームページおよび主要プレイガイドなどにて販売
※中学生以下、母子・父子家庭の世帯員、心身障がい者および付添者1名は無料(入館時に証明できるものを要提示)
※本料金でコレクション展も観覧可

■主な出展アーティスト(予定)
・ファッション(括弧内はデザイナー)
アレキサンダー・マックイーン(アレクサンダー・マックイーン)、バレンシアガ(クリストバル・バレンシアガ、デムナ・ヴァザリア)、バルマン(ピエール・バルマン)、ボッテガ・ヴェネタ(ダニエル・リー)、カステルバジャック(ジャン=シャルル・ド・カステルバジャック)、セリーヌ(フィービー・ファイロ)、シャネル(ガブリエル・シャネル、カール・ラガーフェルド)、ディオール(クリスチャン・ディオール、ジョン・ガリアーノ)、コム デ ギャルソン(川久保玲)、コム デ ギャルソン・オム プリュス(川久保玲)、Gaultier Paris by sacaiジバンシィ(アレクサンダー・マックイーン)、グッチ(トム・フォード)、ヘルムート ラング(ヘルムート・ラング)、ジル サンダー(ラフ・シモンズ)、ジュンヤ ワタナベ(渡辺淳弥)、コスタス ムルクディス(コスタス・ムルクディス)、ロエベ(ジョナサン・アンダーソン)、ルイ・ヴィトン(マーク・ジェイコブス)、マメ クロゴウチ(黒河内真衣子)、メゾン マルジェラ(ジョン・ガリアーノ)、ミュグレー(ティエリー・ミュグレー)、ネンシ・ドジョカ(ネンシ・ドジョカ)、ノワール ケイ ニノミヤ(二宮啓)、舘鼻則孝、プラダ(ミウッチャ・プラダ)、リュウノスケオカザキ(岡﨑龍之祐)、ソマルタ(廣川玉枝)、ステラ マッカートニー(ステラ・マッカートニー)、トモ コイズミ(小泉智貴)、ヴィクター&ロルフ(ヴィクター・ホスティン、ロルフ・スノラン)、ヴィオネ(マドレーヌ・ヴィオネ)、ヨウジヤマモト(山本耀司)、ヨシオクボ(久保嘉男)、ウォルト(ジャン=フィリップ・ウォルト) ほか
・アート
AKI INOMATA、ヴォルフガング・ティルマンス、小谷元彦、笠原恵実子、澤田知子、シルヴィ・フルーリー、原田裕規、松川朋奈、横山奈美 ほか

■巡回情報
熊本会場
会期:2024年12月21日(土)~2025年3月2日(日)
会場:熊本市現代美術館
住所:熊本県熊本市中央区上通町2-3
・東京会場
会期:2025年4月16日(水)〜6月22日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2

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