企画展「しないでおく、こと。—— 芸術と生のアナキズム」が、愛知の豊田市美術館にて、2024年10月12日(土)から2月16日(日)まで開催される。
芸術活動とは、認識や知覚の領域を拡張してゆくことだ。したがって芸術は、「芸術」というひとつの概念に回収されることへの抵抗をあらかじめ含んでいるといえる。これは、未知の領域を取り込み、制度化することで国土や資本を広げてきた、近代以降の営みに対する抵抗にたとえることができるだろう。
企画展「しないでおく、こと。—— 芸術と生のアナキズム」は、こうした抵抗の姿勢、つまり「アナキズム」に芸術の力を見出す展覧会だ。芸術や社会と関わりつつも軽やかに抵抗し、創作活動を行う作家に着目し、19世紀末の新印象主義、第二次世界大戦後のシチュアシオニスト・インターナショナル、そして現代作家などによる作品を紹介する。
本展の序盤では、アナキズム運動が本格化した19世紀末、その思想と関わった新印象派の画家に着目。絵具の混色を避け、すべての色彩を等しい単位で配置することで画面の均衡をとろうとした新印象派の手法は、個々人の自由と調和を通してユートピア社会の実現を目指す、アナキズムの思想と類似するものである。会場では、新印象派のカミーユ・ピサロ、ポール・シニャック、ジョルジュ・スーラによる作品を紹介する。
1957年に結成されたシチュアシオニスト・インターナショナルは、急進する資本主義体制に抵抗し、日常生活における別の状況を構築することを試みた。こうして日常の変革を目指したメンバーは、剽窃や転用といった手法を用いつつ、都市生活の読み替えを行っていった。会場では、重要メンバーのアスガー・ヨルンによる、蚤の市で入手した古い絵に加筆・変更を施す「modifications」絵画などを展示し、シチュアシオニストの実践に光をあてる。
本展の終盤では、生活と芸術をめぐる、現代作家の実践に着目。東京や京都など、複数の拠点を移動しつつ、生活・制作・発表を一体に続けてきた大木裕之などによる、本展のためのインスタレーションを展示するほか、2023年にこの世を去ったドイツの作家マルガレーテ・ラスペのインスタレーション作品の再現を行う。
企画展「しないでおく、こと。—— 芸術と生のアナキズム」
会期:2024年10月12日(土)〜2月16日(日)
会場:豊田市美術館 展示室8 ほか
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)
休館日:月曜日(10月14日(月・祝)、11月4日(月・振)は開館)、12月28日(土)〜1月17日(金)
観覧料:一般 1,500円(250円)、高校・大学生 1,100円(900円)、中学生以下 無料
※( )内は前売および20人以上の団体料金
※前売券は、7月13日(金)から10月11日(金)まで、豊田市美術館ミュージアムショップ(9月23日(月・振)まで)、オンラインチケット(アソビュー!、8月17日(土)から)ほかにて販売
※以下は観覧料無料(要証明):障がい者手帳の所持者および介添者1人、豊田市内在住・在学の高校生、豊田市内在住の18歳以下(満18歳から最初の3月31日まで)、豊田市内在住の満70歳以上
【問い合わせ先】
豊田市美術館
TEL:0565-34-6610