「3人の同期」として、三角錐型スクリーンに投影されているのは、「FUSION」の曲に合わせて踊るメンバーを立体3Dデータとして再構築した映像だ。
Perfumeメンバーが東京・ニューヨーク・ロンドンの3都市に1人ずつ分かれ、別々に踊っているにも拘わらず、“一時もずれない”シンクロしたパフォーマンスを披露した2018年の「FUTURE EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。」からインスパイアされた本展示は、MIKIKOから「DNAレベルで同期している」と評されるPerfume3人のダンスを、自由な視点から多角的に鑑賞できる。
また、ライブ演出を“Perfume視点”で楽しめるのも本展の魅力。2018年のライブ「Reframe」にて使用したモーションキャプチャ等の技術を用いて、小型マーカーを持ったゲストがサークル内に入り、マーカーを動かすとレーザー光線がゲストについてくるという、彼女たちがライブで実際に使用した「光を操る」演出を追体験できる。最大5名まで同時にレーザー光線の操作が可能だ。
“過去のPerfumeライブ演出を超えた”体験型コンテンツも要チェック。LEDステージのスタンドマイク前にゲストが立つと、そのシルエットに沿った自分の“バーチャル影”が映し出される。自分と一緒に動く変化するバーチャル影を楽しんでいると、いつの間にかPerfumeメンバーの影に変形し、3人が踊り出すという面白い仕掛けが施されている。
2021年のライブ「Perfume LIVE 2021 polygon wave」では、事前収録した3人の影を投影し、メンバーがそれに合わせて踊るパフォーマンスを披露。途中から事前収録した影が異なる動きをし始め、ライブ観客を驚かせていたが、本展では、ゲストの影を“リアルに生成する”という新たな演出を体験できる。
様々なコンテンツを鑑賞・体験していると、突如Perfumeメンバーによるカウントダウンがスタート。およそ25分に1回、ギャラリー空間がステージとなってシンクロし、彼女たちが演出の勝負曲の1つとも称する「edge」が25周年を祝うスペシャル映像として、ギャラリー全体をジャックする。目の前で繰り広げられる“まるでライブ”のような感覚を思いっきり楽しんで。
加えて、“舞台裏”をイメージしたチャプター2のギャラリー裏には、巨大年表がお目見え。全長50mに至る年表では、メンバー3人の生まれから広島アクターズスクールでの出会い、2024年現在までの歩みを巡るディスコグラフィーと、当時の時代背景や出来事を見比べながら、歴史を紐解いていく。
会場で別途販売しているバイノーラル録音という技術を使った「VOICE(ボイス)ツアー」を購入すれば、Perfumeのメンバーがその場にいるかのような臨場感で、彼女たちが語る感想や今だからこその思い出を聞くことができるのも嬉しい。
チャプター2のラストを飾るのは、彼女たちのブレイクのきっかけとなった楽曲「ポリリズム」の没入インスタレーションだ。過去に開催された無数の「ポリリズム」のライブ映像をコラージュし、3方向・270度のシアターに投影。
中央には、実際にPerfumeがライブや撮影で使用した200足超のハイヒールが展示されており、活動の軌跡を改めて感じられる。さらに、ファン必見の25年を振り返る3人のインタビュー映像も。
過去のCDジャケットやTシャツ、新聞記事、トロフィーなど貴重なアイテムが天井までずらりと飾られた通路を抜けると、最後のギャラリーへ到着。これまでの25年間を回顧した後に、誰も見たことがないPerfume、そして彼女たちの未来を一緒に体感していく。