展覧会「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」が、東京・京橋のアーティゾン美術館にて、2025年6月24日(火)から9月21日(日)まで開催される。

女性のアボリジナル作家たちを紹介する日本初の展覧会

オーストラリア先住民によるアボリジナル・アートは、地域独自の文脈で生まれた作品への再考が進む近年、国際的に評価と関心が高まっている。また、オーストラリアの現代美術では、女性の作家が数多く活躍しており、その多くがアボリジナルを出自の背景としている。

「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」展は、女性のアボリジナル作家たちを紹介する、日本では初となる展覧会。国際的に高い評価を確立したエミリー・カーメ・イングワリィや、先住民作家として初めてヴェネチア・ビエンナーレのオーストラリア館代表のひとりに選ばれたジュディ・ワトソンなど、7名と1組による作品52点を通して、現代アボリジナル・アートの複層性と多面性に光をあててゆく。

現代のオーストラリア美術を牽引するにいたるまで

女性のアボリジナル作家は近年、オーストラリアの美術界を牽引するばかりでなく、国際的な現代美術の舞台でも存在感を増しつつある。しかし、現代アボリジナル・アートが興隆した1970〜80年代、制作の中心は男性であり、女性は作家として認められていなかった。本展では、女性のアボリジナル作家がいかにしてその立場を逆転し、活躍するようになったのか、彼女たちに焦点を合わせることで見えてくるオーストラリア現代美術の現在を探ってゆく。

手法やテーマの多様性にふれる

現代アボリジナル・アートの特徴のひとつが、制作手法や作品のテーマ、用いられる素材の多様性だ。女性のアボリジナル作家は、ジュエリーや編み物、「バティック」と呼ばれるろうけつ染めなど、従来は芸術作品として受け入れられていなかったものを芸術として昇華させ、表現力の拡大に貢献してきた。

また、社会問題や環境問題、過去の歴史、失われた文化の復興など、幅広いテーマを扱う作家が見られるばかりでなく、イギリスによるオーストラリアの植民地時代を経て脱植民地化の言説が進むなか、作家たちは美術を通してその実践を推し進めてきた。

たとえば、1980年代にジュエリー制作から活動を始めたマリィ・クラークは、植民地時代に失われた地域の伝統文化を復興させる活動に携わってきた。また、吹きガラスを用いたインスタレーションを得意とするイワニ・スケースは、出身コミュニティの歴史、オーストラリアの社会問題や環境問題をテーマに制作を行っている。会場では、女性作家によるアボリジナル・アートのこうした多様性にふれることができるだろう。

展覧会概要

展覧会「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」
会期：2025年6月24日(火)〜9月21日(日)
会場：アーティゾン美術館 6・5階展示室
住所：東京都中央区京橋1-7-2
開館時間：10:00〜18:00(金曜日は20:00閉館)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日：月曜日(7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火)
観覧料：ウェブ予約チケット 1,800円、窓口販売チケット 2,000円、学生 無料(要ウェブ予約)
※日時指定予約制(5月24日(土)よりウェブ予約開始)
※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを販売
※中学生以下はウェブ予約不要
※この料金で同時開催の展覧会を観覧可

■出品作家
マリィ・クラーク、マダディンキンアーシー・ジュウォンダ・サリー・ガボリ、ジュリー・ゴフ、エミリー・カーメ・イングワリィ、ノウォンギーナ・マラウィリィ、イワニ・スケース、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ、ジュディ・ワトソン

■同時期開催
・「石橋財団コレクション選 コレクション・ハイライト」(4階展示室)
会期：2025年6月10日(火)〜9月21日(日)

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL：050-5541-8600