東京都写真美術館では、日本を代表する写真家の一人であり、コム デ ギャルソンのコレクションを撮影した作品等でも知られる畠山直哉の個展を10月1日より、首都圏の美術館で初めて開催する。「Natural Stories ナチュラル・ストーリーズ」と題して、自然と人間との関わりを俯瞰する風景の作品を中心に、代表作から初公開の近作・新作までを含めて約135 点を展示、自然と人間との関わりを改めて俯瞰するような作品が揃う。
畠山氏の代表作である石灰岩や石炭といった鉱物資源に関わる工場や鉱山、その跡地などを捉えたシリーズには、普段あまり人が見ることのない、壮大で、時には畏怖を感じさせるような光景が写し出されている。自然の美しさだけではなく、時には不条理で厳しさも突きつけられるような今回の作品展示は、自然と人間が長い年月をかけてどのように共存し対峙してきたかを考えるきっかけになるだろう。
また、今回は本展で初めて、生まれ育った岩手県陸前高田市を捉えた、パーソナル・ヒストリーを展示。さらにカメラ・オブスクラを使い、作家自らが描いたドローイングも必見だ。畠山氏とゲストによる対談等、関連イベントも見逃せない。
風景は、そこに実体として存在していたものではなく、僕たちが詩を詠んだり、写真を撮ったりすることによって初めて、僕たちの眼前に価値ある姿として現れてくるものだったのです。(中略) 僕たちは、この真っ暗な世界で、言葉や写真を灯火のようにして、次の一歩を踏み出さなければなりません。その一歩を踏み出す行為のみが、生存を意味するということを、僕たちは誰もが心の深いところで知っているからです。
畠山直哉(eyes vol.70より抜粋)
【アーティスト プロフィール】
畠山 直哉 (はたけやま なおや)
1958 年、岩手県陸前高田市に生まれる。1984 年筑波大学大学院芸術研究科修
士課程修了。在学中に大辻清司の影響で本格的に写真を始める。1997 年に第22回木村伊兵衛写真賞、2001年にヴェニス・ビエンナーレの日本代表の一人に選ばれている。同年、第42 回毎日芸術賞、2003 年に日本写真協会年度賞を受賞。
【展覧会インフォメーション】
畠山直哉展 Natural Stories ナチュラル・ストーリーズ
会期: 2011 年10 月1 日(土)~2011 年12 月4 日(日)
会場: 東京都写真美術館 2階展示室
〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
ホームページ: www.syabi.com
TEL: 03-3280-0099
開館時間: 10:00~18:00(木・金は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日: 毎週月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館)
観覧料: 一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 500(400)円
※( )は20 名以上団体料金、東京都写真美術館友の会会員
※小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
※第3水曜日は65歳以上無料
【関連イベント】
■作家とゲストによる対談
①畠山直哉×大竹昭子(文筆家)
日時: 10月2日(日)15:00~16:30 会場: 2階ラウンジ
②畠山直哉×池澤夏樹(作家)
日時: 10月25日(火)18:30~20:00 会場: 1階ホール
※展覧会チケットの半券をお持ちの方は、どなたでも参加可能
※当日午前10時より1階受付で整理券を配布(整理番号順入場、自由席)
■作家によるフロアレクチャー
日時: 10月7日(金)18:30~
※展覧会チケットの半券(当日有効)が必要
■担当学芸員によるフロアレクチャー
展覧会担当学芸員による展示解説を行います
日時:会期中の第1、第3 金曜日 14:00~
※展覧会チケットの半券(当日有効)が必要