なるほど。ではそのリアルな世界で、お2人は"他者"とどのように接するタイプでしょうか。
錦戸:僕自身は、自分が傷つきたくないという思いもあって、慎重に距離を縮めていきたいタイプです。ファーストインプレッションや直感より、一緒に過ごした時間を大切にしたいというか。その人の良い所を見つけると、どんどん好きになっていきます。でも突き詰めて考えてみると、最後には「一緒にいたいか、いたくないか」っていうシンプルな話になってくる気もするかな。
月末は(僕と異なり)相手が元殺人犯だと分かっていても、積極的に関わろうとしていく、比較的フラットなキャラですよね。
木村:私自身も、慎重なタイプですね。文と似ている部分もあると思います。ただ、少し違うのは絶対に逃げないということ。信じたり疑ったり、他者と向き合うのはすごくエネルギーがいることだと思うんですよ。簡単に答えなんて出せないから。でも、最後まで向き合いたいと考えています。その結果、好きな人や信頼できる人が近くにいてくれるということに気づけたかな。
文は月末や周囲に対してクールに振る舞います。好き、嫌いもハッキリしている。でも、悪くない、良いところもあるっていう少しの希望を見出すことに気づけていたら、もっと人と素直に向き合えるんじゃないかな、と思っていました。
町に放たれ、新たな人生を始める6人の元殺人犯たちは、強烈な個性を持つキャスト陣が揃った。傲慢ですぐ人に絡む釣り船屋・杉山勝志役に北村一輝。色っぽく隙のある介護士・太田理江子役に優香。人見知りで几帳面すぎる清掃員・栗本清美役に市川実日子。大人しく気弱な理髪師・福元宏喜役に水澤紳吾。強面で寡黙なクリーニング屋・大野克美役に田中泯。無邪気で好奇心旺盛な宅配業者・宮腰一郎を松田龍平が演じる。
さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた互いに見知らぬ6人の男女。市役所職員の月末(つきすえ)は、彼らの受け入れを命じられた。一見普通にみえる彼らは、何かがおかしい。やがて月末は驚愕の事実を知る。「彼らは全員、元殺人犯」。それは、受刑者を仮釈放させ過疎化が進む町で受け入れる、国家の極秘プロジェクトだった。ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(あや)をも巻き込み、小さな町の日常の歯車は、少しずつ狂い始める・・・。
映画『羊の木』
公開:2018年2月3日(土)
出演:錦戸亮、木村文乃、北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平
監督:吉田大八
脚本:香川まさひと
原作:山上たつひこ いがらしみきお「羊の木」(講談社イブニングKC刊)
配給:アスミック・エース
(c)2018『羊の木』製作委員会 (c)山上たつひこ、いがらしみきお/講談社