「パリ♡グラフィックーロートレックとアートになった版画・ポスター展」が、2017年10月18日(水)から2018年1月8日(月・祝)まで東京・三菱一号館美術館にて開催される。
かつて版画は複製や情報伝達のための手段でしかなかった。しかし、19世紀末のパリ、芸術家・アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
や世紀末の前衛芸術家たちの存在により版画は絵画と同じ芸術の域まで高められ、それらを収集する愛好家も現れた。
また、ポスター文化も大衆文化とともに発展。版画、ポスターなどの美術がともにパリの人々の暮らしに浸透し始めた、そんな時代だった。人々の生活に溢れる芸術「グラフィック・アート」は、当時の芸術家たちにとって実験的な精神が発揮された場所であり、時代を映すメディアであっただろう。
本展では、19世紀末のパリにおける版画の多様な広がりを検証。三菱一号館美術館、アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館の貴重な版画コレクションから、リトグラフ・ポスター、油彩・挿絵本など約140点を展示する。
トゥールーズ=ロートレックは、《ムーラン・ルージュのイギリス人》など歓楽街や娼館、パリに生きる人々の姿を鋭い観察眼で描き出した19世紀末フランスを代表する画家。ポスターや版画制作において卓越したデッサン、鮮やかな色彩、斬新な構図に挑戦し後世のグラフィック・アートに大きな影響を与えている。
三菱一号館美術館ではロートレックのグラフィック・コレクションを250点以上所蔵。本展ではその中から市場には出なかった試し刷りなど、彼の制作過程をみることができる貴重な作品を展示する。
18世紀の終わりに開発されたリトグラフは、水と油の反発する性質を利用して刷る版画技法。自由に描写ができるこの技法に、ロートレックをはじめ印象派やナビ派など多くの画家たちは魅了され、美しい作品をたくさん生み出している。
版画が大衆化する一方、版画の芸術としての価値を高めようとする動きもあった。作家たちが版や刷りの実験的な表現を開拓する一方で、意欲的な画商は版画を絵画と異なる独自の価値があるとし、版画集の刊行を手がけていた。
結果として、前衛アーティストの作品を収集するコレクターのために豪華版の版画集や一点ものの作品が発売された。一方でその動きはどんどん広がり、街に貼られていた劇場のポスターさえもコレクターズアイテムに変貌し、人々のコレクション熱は加速していった。
本展ではロートレックの他にも斬新なデザイン性のある画家、フェリックス・ヴァロットンや、文学とイメージを融合した詩画集を生んだピエール・ボナールなど様々な作家の作品を紹介。収集家たちが集めた高品質の作品と、パリの街角で輝いていたポスターやパンフレット、2つの方向から楽しめる本展、是非足を運んでみてはいかがだろうか。
パリ♡グラフィックーロートレックとアートになった版画・ポスター展
会期:2017年10月18日(水)〜2018年1月8日(月・祝)
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、1月4日、1月5日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜休館(ただし、1月8日は開館)、2017年12月29日〜2018年1月1日
入館料:当日券 一般 1,700円、高校生・大学生 1,000円、小・中学生 500円
前売り券 一般 1,500円 ※大学生以下、ペアは前売り券の設定なし。
※ペア券はチケットぴあでのみ販売。
前売り券販売場所:ローソンチケット、チケットぴあ、セブンチケット、イープラス、ちけっとぽーと関東支店三菱一号館美術館チケット購入サイトWEBKET、三菱一号館美術館内Store1894
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)