ミヒャエル・ハネケ監督映画『ハッピーエンド』が、2018年3月3日(土)に公開される。
物語の舞台は、難民が多く暮らすフランス北部の町、カレー。一見どこにでもいるような家族3世代だが、その裏には不倫や裏切りなど、それぞれに秘密をかかえながら暮らす姿を、ハネケ節たっぷりに描いた人間ドラマだ。キャストは、第85回アカデミー賞外国映画賞を受賞した『愛、アムール』で父と娘を演じたジャン=ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールが、本作でもある裕福な家族の父と娘を演じているほか、『アメリ』のマチュー・カソヴィッツら、フランスを代表する俳優たちが集結している。
家族3世代が絡むキャラクターたちは、ジャン=ルイ・トランティニャン演じる一代で巨万の富を得た家長ジョルジュ・ロランを中心に、複雑な関係で構成される。
イザべル・ユペール演じるジョルジュの娘アンヌは、のちに彼の後継者となる人物で、フランツ・ロゴフスキ演じる、専任職を任された息子ピエールを持つ。また、アンヌの弟で、マチュー・カソヴィッツ演じる医者のトマは、ローラ・ファーリンデン演じるアナイスと夫婦関係にある。しかし、ある事件をきっかけに、トマの元妻との間に生まれた、ファンティーヌ・アルドゥアン演じる14歳の娘エヴがロラン家に越してくることに……
物語は、常に「死」が纏わりつく祖父ジョルジュとそんなエヴにスポットを当てて進んでいく。
予告映像では、そんなロラン家に14歳のエヴが越してくるシーンから始まる。ジョルジュは、食事中のエヴに心ない発言を浴びせたり、突如銃の調達を命じるなど破天荒な老人として映し出される。他にも、薬物乱用で集中治療室に入れられた母親や、ハムスターの死体を携帯で映したショッキングなシーンなど、ロラン一家で巻き起こる“普通”ではない出来事を垣間見ることができる。
89年に映画監督デビュー、『白いリボン』と『愛、アムール』でカンヌ最高賞パルムドールを2作連続で受賞しているほか、アカデミー賞外国語映画賞、セザール賞、英国アカデミー賞など、ありとあらゆる名誉ある映画賞をその手にしているミヒャエル・ハネケ。しかし、その一方で、過激なシーンや人間の愚かさや醜さを克明に描くことから、作品発表の度に物議を醸している。それは『ハッピーエンド』も例外ではなく、2017年に開催された第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映されると、様々な映画評が紙面を賑わせた。
当のハネケ本人は作品について「私の映画はすべてエモーショナルだ。ある意味、私はいつも同じような映画を作っている。映画監督とはそういうものじゃないか?だが、少しでも前より良いものを作っていきたいと願っている。とにかく、今回は“良い”映画を作ろう、とは思わなかった。“不快”な映画を作るときだ、とね」と、コメントを残している。
ロラン家は建設会社を経営し、大きな邸宅に暮らしている。両親の離婚のため離れて暮らしていた孫娘のエヴは、父親トマと一緒に暮らすため、祖父ジョルジュたちの住むフランス北部のカレーに呼び寄せられる。不倫や裏切りなどそれぞれに秘密をかかえながら暮らす、壊れていく現代の家族の物語。
映画『ハッピーエンド』
公開日:2018年3月3日(土)
脚本・監督:ミヒャエル・ハネケ『愛、アムール』『白いリボン』『ピアニスト』
出演:イザベル・ユペール(『エル ELLE』『ピアニスト』)、ジャン=ルイ・トランティニャン(『愛、アムール』『男と女』)、マチュー・カソヴィッツ(『アメリ』)、トビー・ジョーンズ(『奇跡がくれた数式』)、ファンティーヌ・アルドゥアン(『少女ファニーと運命の旅』)
原題:HAPPY END
上映館:角川シネマ有楽町 ほか
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