そんな登坂さんは中条さんに会ってみてどうでしたか?
登坂:そうですね。関西出身というのもあるのかもしれないですけど、現場のスタッフと分け隔てなく接している姿を見ていると、単純に21歳の女の子だなと。
僕から言わせれば犬みたいだなと。これ、最大限に褒めてるからね。(笑)
どんなところが犬みたいだと思ったのですか?
登坂:人懐っこいところ。いるだけで現場の雰囲気も明るくなりました。
くまと犬...現場がほっこりしそうですね。
登坂:そうだったのかな…(笑) ちなみに、『雪の華』は、くまと犬っていう感じの映画ではないですよ。(笑)
曲としての「雪の華」についてどう思っていましたか?
中条:この曲が発売された時はまだ小さい頃だったのですが、毎年街に曲が流れたりして知っていて、それだけ影響力のある曲なんだなと思っていました。世界でもアジアにも知っている人が多い曲で、そんな歌を物語にできるってすごいことだと思いました。
映画のみどころは?
中条:歌をもとにしていますが、様々な登場人物がでてきたり、色々なお話があり、全く一緒だということではありません。曲が持つ繊細さや儚さがストレートに表現されていて、まっすぐすぎるくらいまっすぐな王道ラブストーリーです。
登坂:ストーリーがあって、登場人物がいて…というような前提があると曲の聞こえ方が全然違うというのは印象的でした。音楽には音楽の良さがあるし、映像は映像だけでも楽しめると思います。たとえばこれが雪の華というタイトルじゃなかったとしても、映像作品として形にはなっていると思うので、楽曲と映像それぞれの良さが相まって、相乗効果で良いものが出来あがっていると思います。
歌をモチーフに映画を作るのって珍しいですよね。
中条:例えば、漫画原作の作品だと絵コンテのように参考にしたりしますが、逆にそれがプレッシャーになることもあります。それでいうとこれは元が楽曲なので、自分の解釈で何回も聴いたり、現場でも朝のメイク中に登坂さんが携帯で雪の華を掛けていて。
登坂:呪文のようにね(笑)
中条:そうそう(笑)、その雰囲気が現場にも出てたんじゃないかなって思います。
登坂さんは、音楽があることで演技に入りやすかったですか。
登坂:おっしゃる通りです。ミュージックビデオの撮影など、音楽から映像へという流れは普段の活動とすごくリンクするものがある。もちろんそれは映画とは別世界ですが、音楽を映像として新しい形として届けるということは共感できました。音楽と映像は密接なものですから。
完成した映画を見た感想を教えてください。
中条:葉加瀬太郎さんの「雪の華」の演奏はとても印象的でした。撮影をしている時にはもちろん聞こえてこないので、完成した映画を改めて見てみて、葉加瀬太郎さんが生み出す音楽がこの映画をより魅力的にしてくださっているなと思いました。映画にとって音楽は、演じる人にとっても、見る人にとってもすごく必要なもので、上手く気持ちを持っていけるものだと思いました。
登坂:僕も葉加瀬太郎さんが手掛けた音楽は魅力的だと思いました。撮影した映像に音楽がのると、登場人物の心情がより分かりやすくなるし、見る人の心を動かすような厚みが出るなと。
お二人ともアーティスト、モデル、俳優など、異なるジャンルで活躍されていますね。
中条:最近、印象的なことを言われたことがあって、それは、両方やっているからバランスが良いということ。モデルでインプットしたことを、女優でアウトプットしたり、その逆ができたり。私の場合、女優だけだとバランスが保てないのかもしれませんね。
登坂:うんうん。自分の中では何かはわかっていないんですけど、まわりに言われて僕もそう感じます。俳優としても活動してみて、それを経てアーティストに戻ると、グループのメンバーやスタッフが、明らかに表現の幅が広がったし、歌の聞こえ方が違うって言うんです。今回もステージに何かもって帰れたらと思っています。
演じる上で心掛けていることは?
中条:演じるよりも、生きる演技をしたいなと思っています。その役の人の人生を生きるというか。その作品の間は生きていたいなと思います。
登坂:僕は素直でいるということですね。世界観を踏まえながら演じるということはもちろん意識しているのですが、かっこつけてもダメ。かっこよく演じる余裕がない…のが正直なところかもしれません。でも自分がどう見えてようが、周りがOKと言ってくれることが重要だと思います。
それはステージも一緒。伝えたいメッセージをがむしゃらに伝えるし、魅せる、というよりは、伝えることに素直な気持ちで向きあっています。そういうところが一番意識しているところかもしれませんね。
あと1年しか生きられないとして、やっておきたいことはありますか。
登坂:普段自分に制約を課している部分が多いので、全く我慢しない生活をしてみたいです。欲望のまま生きたい。食べたい時食べて、寝たい時に寝て、行きたいところに行ったりして。何の縛りも拘束もない1年を生きたいですね。
中条:同感です、これでもかっていうほどご飯を食べてみたい。
登坂:仕事で言うと、ワールドツアーもやっておきたいですね。見たことの無い世界を見ておきたい。世界中をツアーで回れたらなと思います。
具体的な国はありますか。
登坂:インドに行ってみたいです。
中条:私もインドに行きたいって考えてました。サリー着て、カレー食べながら踊ってみたいな…。
プライベートでのファッションのこだわりを教えてください。
登坂:こだわりというよりは、自分に合うものを着ようということ。流行っているスタイルだとしても、自分に合わなければ着ない。自分なりの似合う似合わないという基準のようなものはあるんです。
ジャンルで言えばハイブランドとストリートのミックスかな。あとは、その時に聞いている音楽によって、服装が変わることもありますね。