出演している各々のキャストが、演じる時の楽しさと、作品として完成した時にどう見えるかのバランスを考えながら演技をされていた、ということですね。
小栗:まあ、柳楽君はそんな中でも「俺はこれでムービースターになる」って言ってましたけどね(笑)。この映画でムービースターになるってどうなんだろう(笑)。でも、僕はもともと原作を読んでいた時に土方の役をやりたいって言ってたんですけど、柳楽君がやってる土方を見たらぴったりだな、と思いました。土方はかっこいい役ですよね、タバコ吸いすぎだけど。
菅田:今回は特にトッシー(土方)の話でもありますしね、最高だなあ(しみじみ)。
こうしてお話を聞いているだけでも、キャストの皆さんのパワーアップぶりやチームワークの良さが窺えます。
菅田:やっぱり前作の時はみんな仁王立ちで肩に力が入っていたところからスタートしたけど、続編になったらみんな前のめりで肩をぶんぶん回している感じがして。今回、現場が如実に進化している感じがありました。
特に、僕が間近で見ている万事屋のこの2人は、本当に好き勝手やりやがってって感じで。その分こっちもやろうって思いましたし、嬉しかったです。新八としては、今回になってできた突っ込みもありました。たとえば「銀さん~~~」ってのばす「~~~」が、前回「ああ違うなあ」って個人的に反省していた部分だったんですけど、今回になってやっとできたとか。
橋本:前回は私すごい緊張してたんですよ!初日がカブトムシのシーンからで、真選組もみんな揃っていて。全員と初対面で、福田組も勿論初めてだから空気感も全くわからない。そんな中で神楽の「アル」っていうセリフを言わなきゃいけなかったんです。でも、続編になると現場の空気感が楽しくて。続編ではまた良い思い出が沢山出来たな。
橋本さんは特に、前作の『銀魂』以前/以降で環境が変わったのではないですか?
橋本:そうですね。前作を撮影していた時はまだ福岡に住んでいて、高校に通いながらやっていたので。オレンジの髪にカツラをかぶって学校に行ってました!
小栗:「テスト中だから神楽ちゃんいません」みたいな時があったね。その時はまだグループにもいたもんなあ。環奈は福田さんとの出会いによって変わったよね。
菅田:ちょうど女優業を始めて「行くぞ!」っていう時だったよね。
小栗:撮影時期から言えば2年前ぐらいでしょ?だいぶ激動の2年を過ごしたね。
菅田:もう、今回はたくましかったですもん。
さらにたくましい橋本さんのエピソードがあるんですか(驚)?
菅田:みんながしゃくれるっていうくだりがあったんですよ。でも、結構みんな苦戦してたんです。小栗さんがしゃくれるのみて僕が噴き出して笑っちゃってもう1回!とか。
小栗:でもその時環奈が一発でしゃくれて、しかも福田さんの指示通りのトーンでバーンとやったんです。職人みたいな感じで即オッケー。「ハイおつかれ~」みたいな!
菅田:かっこよかったよね!
橋本:しゃくれに関しては練習してたんですよ!監督に「前作で小栗君のしゃくれはもう見てるから、カンカンがどれくらいできるのか見てみたい」って言われて。本番の1週間前くらいにやってみたらまだ足りないって言われたので、そこから毎日「私なんでしゃくれの練習してるんだろう?」って思いながら練習していました(笑)。ずっと練習してたら慣れてしゃくれられるようになってきて。
練習の成果を発揮されたのですね!
菅田:でも普段の顔からしゃくれてるみたいな感じになっちゃってたよね。「お前ふざけてんの?」みたいな(笑)。
小栗:なんかあると「しゅいましぇん(しゃくれながら)」みたいな感じ(笑)。
橋本:そうそう!もうしゃくれるより直すほうが大変でした(笑)!
菅田:それもすごいよね(笑)!あとパロディシーンの時に、カンカンがめちゃめちゃ渋い声出して、超かっこよかったんだよね。みんなふわーっとした物まねをやっている中で(笑)。
橋本:そうそう!全く元ネタを知らない私が一番似てるんじゃないかな?!って。小栗さんの物まねも超似合ってましたよね!
小栗:ビジュアルはいけてたんだよ、しゃべるといかんせん……あまりに、もやっとした感じで(笑)。
菅田:いや!溌剌としてる感じはわかるんですけど、ただでかい(笑)。
前回よりもパワーアップした銀魂。振り切ったギャグやパロディにも期待が高まります。ここまでのお話でも充分面白そうな予感がしますが……。
小栗:みんな多分、面白いことをしなきゃいけないシーンの前日は超ドキドキしているんですよ!誰も笑ってくれなかったらどうしようと思いながら!
菅田・橋本 (爆笑)
小栗:「今お前の持ってるスキル何だよ?」みたいな。絶対心のどこかでみんなそう思っている(笑)。今回、岡田のマー君(岡田将生)はそういう意味で完全に落ち込んで帰っていました(笑)。
菅田・橋本:いや、めちゃめちゃ面白かったですよ(爆笑)!
小栗:キャバクラのシーンで、僕らから見たら面白かったけど、本人の中ではこんなはずじゃなかった、ということがあって。将生くんは、「福田組怖え、福田組怖えなあ、もう出たくない」って言って帰っていった(笑)。みんなでしゃくれる場面でも、岡田のマー君はなぜかしゃくれられないんです(笑)!しゃくれるというより、顎を前に出すっていうスタンスで。なかなかできないんだよね。
橋本:下唇がすごい出るんですよね。
小栗:なんか前に出すんだよ(笑)!それですげー早い新幹線みたいな顔になっちゃうんだよ(笑)。結果的に、流れで見るとそれが絶対一番面白いんです。でも彼の中では「できなかった…」って。一発でしゃくれた環奈を見てマー君が「師匠!」って言ってた(笑)。
前作から今作にかけて、現場の雰囲気に変化はありましたか?所々で笑いが起こる本日のお話からも、雰囲気の良さが伝わってきます。
小栗:前作の撮影から今回まで約1年半ぐらいの期間の中で、そんなに大きく時間が空いたわけではないですが、みんながそれぞれ良い経験をしてきたんだな、ということを感じられるような現場になっていました。
例えば菅田は前回の時点では歌い始めたくらいの頃だったのに、今やアルバムを出すミュージシャンになっていますし。でも、各々が培ってきた経験を発揮するのに『銀魂』がいい場所なのかどうかはわからない(笑)。「よしやるぞー!」みたいなまっすぐなエネルギーを全部かなぐり捨てて、違う方向に走っていかなければならない瞬間もありますからね。そういうところが『銀魂』の現場の面白さでもあるんですけど。
あとは、続編を作ることも早い段階で言われていたので、皆それぞれどこか心の片隅に演じるキャラクターを置きながら今まで過ごしてきただろうし、今回にかけて役にも馴染んできた。そういうムードを感じると面白いなと思うし、続編で蓋を開けてみたらもはや真選組だけでいいんじゃないかみたいな雰囲気までありました(笑)。
菅田:たしかに(笑)。真選組かっこいいんだよね。
真選組の活躍に注目ですね!万事屋の3人の関係性も今回で変わったのでしょうか?
小栗:菅田や環奈との関係性は今回で変わった気がします。今回は3人でいられる時間が本当に多かったから、2人の本当の意味の人となりも見えてきて。多くの時間を一緒に過ごして、もう俺はこの先この2人の前では本当に普通の俺でいても大丈夫だなって思っています。久しぶりに女の子の前で屁こきましたからね(笑)!
菅田:僕も今同じシーンを思い浮かべてたんだけど!
橋本:私も(笑)!
菅田:現場で屁こいて笑い取るってもう…(笑)。
小栗:ただのおじさんだよね(笑)!おじさんでも屁こいて笑いとる人いないよね!
菅田:それもなんか銀ちゃんと合ってる気もしますけどね。
皆さんの軽妙なやり取りが、万事屋の3人と重なります。それぞれ、演じているキャラクターとご自身に通じる部分はありますか。
小栗:僕、基本ぐうたらなので。そういうところは似てると思いますけどね。
菅田:普段働きたくねえって言ってる(笑)。
小栗:基本クズなんです(笑)。僕も本当に仕事の時だけ100パーセントで頑張ってる感じだから、そこは銀時と似てるところかなあ。銀ちゃんも本当に戦わなきゃいけない時だけはすげー一生懸命ですけど。