俳優業の世界に入ったきっかけを教えてください。
小学校の時にモデルとしてデビューした当初から、演技レッスンには通っていて、その流れでお芝居の仕事を始めたのがきっかけです。でも最初の頃は、全然お仕事をいただけなくて、ドラマの端役からキャリアを積んでいました。あの頃は、まだこの世界の事も全然分からなかったし、常に緊張していたので、“演じること”の楽しさは見いだせずにいました。
そんな沢尻さんの俳優人生を変えることになった作品は?
出会いとして大きかったのは、やはり18歳の時に出演した映画『パッチギ!』。井筒監督と巡り会えたことで、芝居の“本当の面白さ”を学ぶことが出来ました。当時は、私を含む新人俳優を集めて、2カ月くらいみっちり合宿のような生活をしていて。芝居に関する一から井筒監督に叩き込まれたんです。そうやって“井筒組”で勉強したことは、今の私の演技のベースになっていますし、そういった意味でも『パッチギ!』は私の俳優人生においてすごく思い入れのある作品です。
『パッチギ!』のようなヒット作が重なる一方で、多感な10代に俳優として生きるプレッシャーは感じませんでしたか?
確かにあったかもしれません。私の場合は、世間の期待している“女優・沢尻エリカ像”に苦しんだかな。本当の私は全く違うのに、そのイメージを崩すのが怖くて、“沢尻エリカならこうあらなきゃ”って。
そういったプレッシャーは、どのようにして克服していきましたか?
年を重ねて、経験を積むごとに、山ほど失敗もして。その中で“自分にとって要らないモノ”が何なのかも気付いていけたのです。今振り返ってみると、若い頃はなんてくだらないことに捕らわれていたのだろうという感じ。最近は、今自分自身がハッピーであることが一番の財産であると感じているので、外からのイメージ象は全く気にしていません。
俳優業を続けていくうえで、継続して取り組んでいることは?
ヨガやジムといったトレーニングは欠かせませんね。私お酒が大好きなので、本当は毎日でも飲みたいくらいなんですけど、そこは我慢して嗜む程度に週1回くらい。今年は大河ドラマも控えているので、きちんと体力づくりをしてコンディションを整えています。
沢尻さんにとって“俳優業”とは?
まさに私の人生そのもの。“役を生きる”こと以外できない人間なんです。私は演じている瞬間が最高に楽しいし、その積み重ねが私の人生をより豊かなものにしてくれています。
太宰と3人の女たちの“運命の恋”を取り巻く登場人物達は以下の通り。彼らを演じる、成田凌、千葉雄大、藤原竜也といった実力派俳優勢の顔ぶれにも注目だ。
佐倉潤一(成田凌)
太宰に「人間失格」の執筆を依頼する老舗出版社の若手編集者。太宰の巻き起こす様々な女性問題に巻き込まれ翻弄されていくことになる。
太田薫(千葉雄大)
沢尻演じる静子の弟。太宰の子供を身ごもった姉に対し世間体を気にして苦言を呈するも、音信不通になった太宰に対して本気で怒りをぶつける姉想いな一面も。
伊馬春部(瀬戸康史)
太宰が心を許す親友であり、脚本家としてラジオやテレビ等を中心に活躍する気鋭の作家。
三島由紀夫(高良健吾)
後に日本文学界を代表する世界的作家となる、若き三島由紀夫。無名時代に太宰と直接対面し、真っ向から批判したという実話通り、スター作家に喧嘩を売る野心的な若手作家。
坂口安吾(藤原竜也)
代表作「堕落論」など、過激な思想で戦後一躍時代の寵児となった無頼派の作家。実際の太宰の友人でもある。酒と薬を手放さない破天荒で強烈な作家であり、太宰を堕落へと誘う。
主題歌は、2001年にリリースされた東京スカパラダイスオーケストラの名曲「カナリヤ鳴く空 feat.チバユウスケ」。構想初期からこの曲をイメージしていたという蜷川のオファーに応える形で、主題歌が決定した。