展覧会「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」が、東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館にて、2021年2月7日(日)まで開催される。
浮世絵の「浮世」とは、元来「憂世(うきよ)」と書かれた。中世までは、憂いことの多きこの世の中を悲しむことを指したが、江戸時代に入り、経済生活を確立しつつあった庶民の活力により、“儚いこの世を享楽的に生きよう”という考えへと変化したのだった。そしてこの時代には、そうした日常生活をうつしだした風俗画や浮世絵が制作されることとなる。
「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」では、初公開となる肉筆浮世絵や静嘉堂文庫所蔵の浮世絵版画を多数展示。江戸時代初期の風俗画や浮世絵を育んだ、ほとばしるような活力へと光をあてる展覧会となる。
会場では、 江戸時代初期に一大歓楽街となった京都・四条河原の賑わいを屏風に描いた重要文化財「四条河原遊楽図屏風」をはじめとして、活気あふれる庶民風俗を主題とした作品を展示。加えて、狩野派を脱して庶民の暮らしを描いた英一蝶の「朝暾曳馬図」を修復後初公開する。
また、静嘉堂文庫秘蔵の浮世絵版画を通史的に紹介。鳥居清信の役者絵「沢村小伝次」から、錦絵の創始者・鈴木春信の「花王」、喜多川歌麿「四美人やつし車引」や葛飾北斎「吉原妓楼の図」など成熟期の浮世絵までを楽しむことができる。
錦絵が生まれるまえから、紙や絹に絵筆で描いた「肉筆浮世絵」が制作され、特に美人画は最たるテーマであった。本展では、京の美人画を先導した西川祐信の「女通玄(張果老)」や、梅花に鮮やかな着物姿の女性を描いた勝川春章「梅花二美人」など初公開作品、そして葛飾北斎壮年期の作である「桜下美人図」などを展示。江戸と京の美人画の競演を堪能できるだろう。
展覧会「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」
会期:2020年12月19日(土)〜2021年2月7日(日)
※当初は2020年4月11日(土)〜5月31日(日)の会期を予定していたが変更
※2021年1月19日(火)より一部展示替えあり
会場:静嘉堂文庫美術館
住所:東京都世田谷区岡本2-23-1
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜16:30
※1月8日(金)~2月7日(日)の期間は16:00まで
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(1月11日(月・祝)は開館)、年末年始(12月28日(月)〜1月4日(月))、1月12日(火)
入館料:一般 1,000円、大高生・障害者手帳の所有者(同伴者1名を含む) 700円、中学生以下 無料
※20名以上の団体は200円割引