展覧会「もうひとつの江戸絵画 大津絵」が、東京ステーションギャラリーにて、2020年9月19日(土)から11月8日(日)まで開催される。
大津絵とは、江戸時代初期より東海道の宿場町・大津周辺で量産された土産物であり、面白みのある絵柄が大衆の人気を集めて全国に広がった。近代以降、街道の名物としての使命を終えた大津絵は、民藝運動の創始者・柳宗悦といった目利きの文化人らに所蔵され、美術品としての価値を見出されることとなる。
展覧会「もうひとつの江戸絵画 大津絵」は、これまでは歴史・民俗資料として扱われてきた大津絵を美術の文脈に据えなおし、伊藤若冲といった奇想の系譜や浮世絵などとは異なる、“もうひとつの”江戸絵画としての魅力に迫る展覧会だ。
初期には仏画が中心だったものの、鬼や動物、七福神といった親しみやすい画題が増え、さらには道徳的な教訓を詠んだ“道歌”も入れられるようになった大津絵。本展では、代表的な画題を描いた《鬼の念仏》や《大津絵図巻》の「藤娘」、そして《鬼の行水》など、名だたる目利きに所蔵された大津絵約150点を展示する。
これら大津絵は、作者の名前が記されておらず、土産物としての需要に応じて手作業で量産するために図柄の様式化・省略が施されるなど、実用性を帯びたものであった。日常的な暮らしの手仕事のなかに美を見る柳宗悦はそういった大津絵を、民俗的・実用的な絵画である「民画」の代表として捉えて評価したのだった。
また、織物や紙などを用いて掛軸などに仕立てる“表具”も見どころの1つ。柳宗悦の案による趣向を凝らした表装を施した《長刀弁慶》や、1940年当時の目録に収められた図版と同一の表具をもつ《頼光》など、旧蔵者がこだわった表具にも注目したい。
展覧会「もうひとつの江戸絵画 大津絵」
会期:2020年9月19日(土)〜11月8日(日)
※会期中に展示替えあり
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
休館日:月曜日(9月21日(月)、11月2日(月)は開館)
開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで開館)
※入館は閉館30分前まで
入館料:一般 1,200円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
※障がい者手帳等の持参者は100円引き(介添者1名は無料)
※前売券・団体券の販売はなし
※チケットの購入方法など、入館に関しての詳細は美術館サイトを確認
※予定は変更となる場合あり
【問い合わせ先】
TEL:03-3212-2485