展覧会「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」が、静岡市美術館にて2021年11月20日(土)から2022年1月23日(日)まで開催される。その後、2022年2月9日(水)より、茨城県近代美術館に巡回予定だ。
西洋絵画における風景画は、18世紀ごろまで、主に理想化された情景を扱ってきた。しかし19世紀に入ると、 バルビゾン派をはじめとする画家たちが身近な風景を描くことを試みるようになり、以後、印象派へと続く近代風景画の流れが形成されたのだった。
展覧会「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」では、フランスのシャンパーニュ地方の古都・ランス中心部に建つランス美術館の収蔵作品を中心とする約70点あまりの作品から、近代フランスにおける風景画の変遷をたどる。
フランスで「風景」が絵画の主題として認められるようになったのは、18世紀末のこと。第1章では、詩情あふれる風景画を描いたジャン=バティスト・カミーユ・コローや19世紀風景画の先駆者を紹介。なかでも、ランス美術館の充実したコレクションから、《湖畔の木々の下のふたりの姉妹》や《突風》などのコロー作品16点が出品される。
1820年代から30年代にかけて、バルビゾン派と呼ばれた画家たちは、パリから約60km南東に位置するフォンテーヌブローの森に集まり、自然の客観的な観察に基づいて風景画を制作した。第2章では、テオドール・ルソー《沼》やジュール・デュプレ《風車》など、物語性を排して写実的な風景画を手がけたバルビゾン派の作品を紹介する。
ところで、写真技術が浸透するまで、絵画の複製には版画が用いられていた。19世紀には、それまで専門の版画家が作成していた版を画家自らが手がけるようになり、風景画の普及と発展にも寄与した。第3章では、コローやバルビゾン派の画家による風景版画を目にすることができる。
第4章では、ノルマンディー沿岸を中心に戸外制作を積極的に行ったウジェーヌ・ブーダンにフォーカス。刻々と変化する空や光の表情を描きとめるブーダンは、バルビゾン派と後の印象派を架橋する役割を担なった。ここでは、《ベルク、出航》をはじめ、変化に富む空模様を繊細に捉えた風景画を展示する。
なおも風景画が低い地位にあった19世紀後半、クロード・モネやカミーユ・ピサロといった若い世代の画家は積極的に戸外での制作を行い、近代化が進むパリの都市風景や郊外の自然風景をいきいきと描きだした。
筆触分割による明るい色彩と大胆な筆跡を特徴とする彼らの作品は幾たびと非難されたものの、その革新的表現は近代絵画に大きな転換をもたらすこととなった。第5章では、そうした「印象派」の展開に目を向け、モネ《べリールの岩礁》やルノワール《風景》などを展示する。
展覧会「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」
会期:2021年11月20日(土)〜2022年1月23日(日)
会場:静岡市美術館
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー3階
休館日:毎週月曜日、年末年始/12月27日(月)~1月1日(土・祝)
※ただし1月3日(月)・1月10日(月・祝)は開館、1月4日(火)・1月11日(火)は休館
開館時間:10:00~19:00 ※展示室入場は閉館30分前まで
観覧料:一般 1,300円(1,100円)、大高生・70歳以上 900円(700円)、中学生以下無料
※( )内は前売及び当日に限り20名以上の団体料金
※障がい者手帳等持参者および介助者原則1名は無料
※前売券は10月9日(土)~11月19日(金)の期間販売
※日時指定予約は静岡市美術館 公式ホームページにて受付
■巡回情報
・茨城県近代美術館
会期:2022年2月9日(水)~3月27日(日)
住所:茨城県水戸市千波町東久保666-1
・ひろしま美術館
会期:2022年5月21日(土)~7月3日(日)
住所:広島県広島市中区基町3-2
■終了した会場
・北九州市立美術館
会期:2020年7月25日(土)〜9月6日(日)
住所:福岡県北九州市戸畑区西鞘ヶ谷町21-1
・島根県立美術館
会期:2020年9月12日(土)~11月3日(火・祝)
住所:島根県松江市袖師町1-5
・福井県立美術館
会期:2021年2月27日(土)〜3月21日(日)
住所:福井県福井市文京3-16-1
・名古屋市美術館
会期:2021年4月10日(土)~6月6日(日)
住所:愛知県名古屋市中区栄2-17-25 芸術と科学の杜・白川公園内
・SOMPO美術館
会期:2021年6月25日(金)〜9月12日(日)
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
・宮城県美術館
会期:2021年9月18日(土)~11月7日(日)
住所:宮城県仙台市青葉区川内元支倉34-1
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