展覧会「宇佐美圭司 よみがえる画家」が、東京大学駒場博物館にて、2021年8月29日(日)まで開催される。なお、一般公開は7月1日(木)より開始。
宇佐美圭司は、1940年に生まれた画家だ。初期には抽象画を手がけ、1965年にアメリカで起こった暴動事件「ワッツ暴動」の報道写真から4つの人型を抜き出し、これを用いて「ゴースト・プラン」などの絵画を展開したほか、レーザー光線を使用した作品などにも取り組んだ。
展覧会「宇佐美圭司 よみがえる画家」は、宇佐美の長年の活動全体を振り返る、首都圏では20年ぶりの回顧展だ。《焔の船 No.10》といった1960年代の抽象画から、制動(ブレーキ)によって変化する運動エネルギーをテーマとして、晩年に手がけられた「大洪水」にまで至る画業を概観するとともに、数少ない彫刻作品も展示する。
また、会場では、レーザー光線を活用した作品《Laser: Beam: Joint》を再制作して展示。1968年に宇佐美が発表した同作は、世界最初期のレーザー光線による作品である。本展では、この作品にまつわる資料を分析しつつ、現在のレーザー科学の知見に基づいて、作品の一部をアップデートして公開する。
本展開催の背景には、東京大学中央食堂に掛けられていた宇佐美の絵画《きずな》が、2017年の改修工事の際に不用意な廃棄処分によって失われたという出来事がある。本展は、そうした視点から宇佐美の業績を省みる機会でもある。
一方、近年の現代美術では、芸術作品のオリジナリティや複製、保存修復などの観点から、“再制作”への関心が高まりつつある。会場では、上述の《Laser: Beam: Joint》再制作に加えて、《きずな》再現映像の映像を展示。さらに、駒場博物館が所蔵する、再制作されたマルセル・デュシャンの《花嫁は彼女の独身者たちによって裸にされて、さえも》をあわせて展示することで、現代美術における再制作についても考察する。
展覧会「宇佐美圭司 よみがえる画家」〈日時指定予約制〉
会期:2021年4月28日(水)〜8月29日(日)
※一般公開は7月1日(木)より開始(6月21日(月)からの一般公開を予定していたが再度変更、開館日程は再び変更となる可能性あり)
※会期は6月27日(日)から延長
会場:東京大学駒場博物館
住所:東京都目黒区駒場3-8-1
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:火曜日
※6月30日(水)までの学内公開期間は、土日祝祭日休館
観覧料:無料
※博物館ウェブサイトでのオンライン日時指定予約が必要(7月1日(木)から)
【問い合わせ先】
東京大学駒場博物館
TEL:03-5454-6139