展覧会「映えるNIPPON 江戸〜昭和 名所を描く」が、東京の府中市美術館にて、2021年7月11日(日)まで開催される。なお、臨時休館に伴い、開幕日は6月1日(火)に延期となった。
雪をいただく富士、歴史に彩られる寺社仏閣、あるいは、桜が咲く隅田川──親しみやすさや懐かしさを感じさせるこうした「名所風景」は、画家や写真家によって捉えられ、ポスターといった複製メディアを通して人びとに浸透していった。
展覧会「映えるNIPPON 江戸〜昭和 名所を描く」では、日本各地の「名所風景」を捉えた、幕末から昭和にかけての絵画、版画や写真、ポスターなどを展示し、こうした景観がどのように描かれ、いかにして広まっていったのかを探る。
江戸をはじめ、各地の名所を描いた絵師・歌川広重。本展では、明治期の変わりゆく東京の姿を描きだした“明治の広重”小林清親、全国を旅して抒情豊かな風景画を手がけた“昭和の広重”川瀬巴水ら、江戸時代から続く浮世絵木版画の伝統の上で、名所を描いた画家を紹介するとともに、大正の広重と評される吉田初三郎の作品も展示する。
吉田初三郎は、写生の旅を繰り返し、何百枚ものスケッチをまとめ上げることで、独自の鳥瞰図を描いた。会場では、昭和初期に制作された大型の肉筆作品《神奈川県鳥瞰図》を紹介。電車や自動車の姿が小さく緻密に描かれる一方、富士山と同じくらい高く聳える大山や、遠く下関が描きこまれるなど、初三郎ならではのデフォルメが施された作品世界を楽しむことができる。
昭和初期、日本各地の雄大な自然景観が国立公園として選定された。この新たな「名所」を人びとのあいだに広めようとしたのが、名だたる洋画家による絵画であった。本展では、中澤弘光《上高地大正池》など、国立公園の魅力を伝えるべく描かれた作品を目にすることができる。
日本を代表する名所といえば、富士山だろう。その姿は、江戸や東京のなかで方角を表すひとつのシンボルとして、また刻々と表情を変えゆく自然の代表として、多くの画家によって取りあげられてきた。本展でも、富士を繰り返し描いた和田栄作の《三保富士》をはじめ、多彩な富士の作品を紹介する。
展覧会「映えるNIPPON 江戸〜昭和 名所を描く」
会期:2021年6月1日(火)〜7月11日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
[前期 6月1日(火)〜6月13日(日) / 後期 6月15日(火)〜7月11日(日)]
※開幕日は5月22日(土)を予定していたが、5月31日(月)までの臨時休館に伴い延期
会場:府中市美術館 2階 企画展示室
住所:東京都府中市浅間町1-3
休館日:月曜日
開館時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
観覧料:一般 700円(560円)、高校生・大学生 350円(280円)、小学生・中学生 150円(120円)
※( )内は20名以上の団体料金
※未就学児および障害者手帳などの所持者は無料
※上記料金で常設展も観覧可
※府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」で無料
※最新の開館状況については、美術館ウェブサイトないしハローダイヤルなどにて確認
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)