企画展「浮世絵風景画─広重・清親・巴水 三世代の眼─」が、東京の町田市立国際版画美術館にて、2021年7月10日(土)から9月12日(日)まで開催される。
企画展「浮世絵風景画─広重・清親・巴水 三世代の眼─」は、江戸の歌川広重、明治の小林清親、そして大正から昭和の川瀬巴水という、各時代に優れた風景版画を手がけた3人の絵師・画家を紹介する展覧会だ。
名所絵の第一人者である広重と、それぞれ明治の広重、昭和の広重とも称された清親、巴水の作品を、前期・後期で合わせて370点超展示し、変わりゆく日本の風景をそれぞれの絵師・画家がいかにして表現してきたのかを探る。
江戸時代後期に旅行や行楽への関心が高まるなか、風景を描いた「名所絵」が人気ジャンルとして花開いた。その第一人者である歌川広重は、四季豊かな日本の風土を木版画に描き、同時代のみならず後世の絵師に大きな影響を与えたのであった。本展では、代表作「東海道五拾三次之内」や、江戸名所の繁栄と情緒を伝える江戸名所絵の数々を展示する。
明治時代になると、浮世絵風景画は新しい名所や表現を取り込みつつ、色彩豊かに発展した。なかでも小林清親は、「光線画」と呼ばれる風景版画を発表し、文明開化後の東京を繊細な光と影で表現した。会場では、「内国勧業博覧会瓦斯館 イルミネーション」や「高輪牛町朧月景」といった近代社会を題材とした作品に加え、天候や時刻のうつろいを繊細に描いた光線画なども目にすることができる。
大正中期には、浮世絵の伝統木版の技術を継承した「新版画」が制作されるようになる。その代表画家のひとり、川瀬巴水は、関東大震災前後の東京や旅先の景色を抒情的に描き、風景版画の系譜を継承した。本展では、都会の姿に自然や伝統を織りこんだ東京風景、そして「旅みやげ第一集」や「日本風景集 東日本篇」といった旅先の風景を描いた版画を紹介する。
このように、広重、清親、巴水の3人は、それぞれ異なる時期に活躍し、師弟関係などがあったわけではない。しかし、時代とともに建造物や街並みが変わろうとも、彼らは風景の変わらない側面を捉えていた。会場では、雨の新大橋や亀戸天神の太鼓橋、雪の降り積もる芝増上寺といった、同じ題材を描いた3人の風景版画を比較しつつ楽しむことができる。
企画展「浮世絵風景画─広重・清親・巴水 三世代の眼─」
会期:2021年7月10日(土)~9月12日(日) 前期・後期で作品を完全入れ替え
[前期 7月10日(土)~8月9日(月・振休) / 後期 8月12日(木)~9月12日(日)]
会場:町田市立国際版画美術館 企画展示室1・2
住所:東京都町田市原町田4-28-1
休館日:月曜日(8月9日(月・振休)は開館)、8月10日(火)
※8月11日(水)は、展示替えのため閉室(企画展示室(本展)以外は通常どおり開館)
開館時間:平日 10:00~17:00 / 土日祝 10:00~17:30
※入場はいずれも30分前まで
観覧料:一般 900円(700円)、大学・高校生 450円(350円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)、ないし精神障がい者保健福祉手帳の所持者と付添者1名は半額
※展覧会初日(7月10日(土))、シルバーデー(65歳以上 / 7月28日(水)、8月25日(水))は無料(状況により中止の場合あり)
※リピーター割引(200円引)あり、その他割引については美術館ホームページを確認
※状況により会期などは変更となる場合あり(来館前に美術館ホームページ・SNSにて確認)
■同時開催
ミニ企画展「浮世絵モダーン 橋口五葉と伊東深水を中心に」
会期:2021年6月30日(水)~9月12日(日)
会場:常設展示室
※入場無料
【問い合わせ先】
町田市代表電話
TEL:042-722-3111