展覧会「ピーター・シスの闇と夢」が、東京の練馬区立美術館にて2021年9月23日(木・祝)から11月14日(日)まで開催される。
「ピーター・シスの闇と夢」は、チェコスロヴァキア(現・チェコ共和国)出身でアメリカを代表する絵本作家のピーター・シスを紹介する日本初の展覧会。
ピーター・シスは短編アニメーションの制作を始めたことからその才能を広く認められ、西ベルリン映画祭では金熊賞を、トロント映画祭ではグランプリ、ロサンゼルスの映画祭では金鷲賞を受賞するなど高い評価を得た。
その才能から、1982年には2年後に開催されるロサンゼルス・オリンピックの映像制作に向けて政府によってアメリカに派遣された。しかし祖国を含む東側諸国がオリンピックのボイコットを表明したため、ピーター・シスはアメリカに亡命することに。
ニューヨークを拠点に、新聞、雑誌、絵本などのジャンルを中心に意欲的な創作活動を続けていく中で、ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ年間ベストテンや、パブリッシャーズ・ウィークリーのベストセラーリストの常連となるなどアメリカでの絵本作家としての地位を築き上げていった。
ピーター・シスがこれまで生み出してきた絵本は30作以上。日本でも多くの作品が翻訳され親しまれている。1994年に発表され、日本では柴田元幸の翻訳によって2005年に出版された『三つの金の鍵 魔法のプラハ』では、自身の少年時代の思い出やプラハの歴史を辿り、美しくも悲しみを帯びた古都を描き出した。
また、勇敢な科学者ガリレイの生涯を読み解き、その偉業だけでなく苦悩や困難などにも焦点を当てた『星の使者 ガリレオ・ガリレイ』、ソ連下の故郷で表現の自由を制限された辛い経験や、そんな中にあっても夢や希望を持ち続けた自身の記憶、日記に基づく自伝的絵本『かべ 鉄のカーテンのむこうに育って』なども代表的な作品だ。
加えて、2014年には、名作『星の王子さま』の作家であるサン=テグジュペリの生涯を辿り、不朽の名作に新たな解釈を提示した絵本『飛行士と星の王子さま: サン=テグジュペリの生涯』も制作している。
会場には、これらのピーター・シスを代表する絵本の原画や、創作活動の原点である貴重な初期アニメーション作品を中心に、オブジェや創作の手がかりとなる構想メモ、スケッチ、日記など様々な作品や資料約150点が集結。また、同郷の監督、ミロス・フォアマンによる映画『アマデウス』のポスターをはじめ、ピーター・シスが手掛けたチェコと関係の深い作品も紹介する。
【詳細】
ピーター・シスの闇と夢
会期:2021年9月23日(木・祝)~11月14日(日)
会場:練馬区立美術館
住所:東京都練馬区貫井1-36-16
TEL:03-3577-1821
休館日:月曜日
開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
観覧料:一般 1,000円、高校・大学生および65~74歳 800円、中学生以下および75歳以上無料(その他各種割引制度あり)
※一般以外の方(無料、割引対象者)は年齢等の確認できるものを受付にて提示。
※2023年には兵庫・伊丹市立美術館への巡回を予定。