マッツ:あのシーンは、僕も凄く気に入っているよ。
ジュード:ダンブルドアとグリンデルバルドが杖を交えるなんて、ある意味セクシーな場面だよね。
■シリーズ3作目を迎えて、物語のキャラクター同士の繋がりはもちろん、キャストの方同士の絆もより深まっているように感じます。役柄を演じるうえで、他の演者との信頼関係も深く関わっていると思いますか?
ジュード:むしろその信頼関係こそが、演技をするうえで最も重要なことであると僕は感じています。相手と現場を共にするのが1回目なのか、2回目なのかによって、その関係も進化していくし、互いを理解しファンとなることで、俳優としての資質を育むことができるのです。
正直言って、このような関係性は俳優業以外にはおこならないと思うんですよ。仰々しい言い方になってしまうことを覚悟すれば、スピリチュアルなレベルで互いを理解し、成長し合っているのですから。
エディ:同感。特にファンタビのような長く続くシリーズ作品だと、相手との関係性をより深めることができることができるから、より素晴らしい作品へと進化していくことができると思うんです。
そしてずっと憧れていた俳優と信頼関係を結べるのも、この仕事の醍醐味なのではないかな。僕の場合はそれがジュードでした。彼が2作目から加わって以来、実際の役柄のように固い絆がうまれたことは、僕とって何にも代えがたい喜びなんです。ジュードとは一騎打ちでもできそうな間柄なんですよ、それも偉大なる愛をもってね。
ジュード:なんて素敵な回答なんだ。これ以上僕は何も付け加えられないよ…(笑)
■恋仲であるジェイコブ×クイニーを演じたダンさんとアリソンさんは、シリーズ1作目からの共演ですよね。
アリソン:はい。3作品を一緒に過ごすというのは本当に素敵なことで、作品だけではなく、人生に起きる様々なイベントもダンとは共有することができているんです。私には子供が生まれて、ダンとは奇遇にもご近所さんになって、互いの家族とも仲良くなって…。
ダン:アリソンは僕の奥さんとも友達になったし、娘の面倒も見てくれる仲なんです。そろそろ心のうちも読めるようになってきたよね、クイニーみたいに。(※)
(アリソンに念を送る仕草)
アリソン:彼が考えているのは…お昼ご飯は何にしようかな、ということ!
ダン:そんなんじゃない(笑)。
アリソン:そうなれば私もコーヒーを飲める時間ができるわ。
ダン:どれだけコーヒーを飲むんだよ(笑)。
※アリソン演じるクイニーは、人の心のうちを読める魔法使い。
■キャストの皆さんの仲の良さが、本当に伝わってきます…!
イェーツ監督:"ファンタビ・ファミリー”は、本当に素晴らしいキャストで構成されているんですよ。そして彼らに共通しているのは、現場のカメラの向こうには、世界中の沢山のファンの人たちがこの映画を楽しみに待っているという事実を、きちんと理解しているということ。だから参加してくれた俳優陣は、ひとりひとりの役柄をとても深く考えているし、演じることに対しても強い責任感を持ち合わせているんです。
ここにはいないけれど、クリーデンスを演じたエズラ・ミラーの熱量もものすごいものでしたね。今でも覚えているのは、1作目の時にひとつのカットに50テイクの撮影を自ら繰り返すほど、キャラクターとして表現したいものを見つけようとしていたんです。涙を流すまで辞めなかったんですよね、エズラは。僕はそんな才能あふれるキャストと仕事ができることを心から光栄に思います。そして映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では、ようやくエズラにあったまともな髪型を与えることもできて、本当に嬉しく思っています。(笑)
アリソン:前作までは本当にひどい髪型だったわよね。今回は凄く似合っていると思う。
イエーツ監督:今回のロングヘアーはエズラ・ミラーだから、似合っているともいえる。
ダン:前2作品の髪型がひどすぎたんだよ(笑)。
■シリーズ3作目も、ハリー・ポッターシリーズのJ・K・ローリングが脚本を手掛けています。シリーズを追うごとにワクワクが増すのも、魔法ワールドならではの魅力ですね。
マッツ:J・K・ローリングが作り出した世界というのは、子供だろうと、大人だろうと関係なく、全ての人を魅了する。魔法ワールドに全員飲み込まれてしまうんですよ、キャストも含めてね(笑)
ジェシカ:そのひとりは間違いなく私ね!私は子供のころから「ハリー・ポッター」の大ファンだったから、3作目で出演が決まった時は、ひとりで踊り続けてしまったほど、興奮したんです。いざ魔法ワールドがセットされた撮影現場に入った後も、ずっと緊張で手が震えていたほど。”私はプロなんだから、仕事をこなしなさい“って、何度も自分に言い聞かせなければならなかったんですよ。ファンであることと、プロとして仕事をすることの線引きがここまで難しいことって、なかなかない経験だと思うわ。
マッツ:あの”魔法の杖“が、ファンとして僕たちの心を大きく揺さぶるんだよね。そしてキャストの皆は、どの魔法の杖が一番強いのかを、むきになって話し合わなきゃいけないんだ。誰もが心のうちで「お前らなんとでも言え!この(自分の)杖こそが最強な杖なんだから」なんて、つぶやきながらね(笑)。
ダン:僕はマグル役(※)だけれど、3作目も魔法の杖にうまく引きずりこまれてしまった(笑)。だってそんな魅力的な誘惑を拒めるわけがないでしょう?そして今回は夢にまで見たホグワーツの大広間でのシーンにも参加できたから、「あぁ、僕はこの瞬間に、魔法ワールドに組み込まれたんだ」って、感慨深く感じてしまいました。
※マグル…"魔法を持たない普通の人間”を指す魔法界用語。
■ダンさん演じるジェイコブは、"マグル”である観客の夢を一身に背負う役柄でもあると思います。そのことについて、プレッシャーにも感じましたか?
ダン:ええ、ジェイコブ役は凄く責任重大な役柄だと感じていますよ。魔法ワールドに紛れ込んでしまった”場違いなマグル“に、観客の皆さんも感情移入しやすいでしょうし、同時にジェイコブが皆さんの夢を叶えてくれることもあるはずですからね。
ただマグル役として、「ハリー・ポッター」シリーズのダズリー(※)よりも、良い名前を残せたことを、僕は誇りに感じています。素晴らしき魔法ワールドで、僕は心清きマグルなのですから。
イェーツ監督:そしてダン演じるジェイコブは、前作から物語を紡ぐうえでも、大きな役割を担っているんですよ。1作目、2作目で何が起こったのか、全てを記憶してない人も沢山いるでしょうけれど、全然大丈夫。とても古典的なやり方でしたが、ジェイコブがこれまでの物語の情報を演技の中で自然に要約してくれているので、最後まで楽しめると思います!
※ダズリー…「ハリー・ポッター」シリーズで、主人公ハリーのいとこにあたる間柄のマグル一家。ハリーに対して、長年いやがらせを繰り返していた。
■「ハリー・ポッター」シリーズ同様、こうして"ファンタビ”と共に大人になる子供たちもきっと増えていくんでしょうね。
イェーツ監督:そう願います。そしてこの作品におけるメッセージは、ある意味、時代を超えていくものだとも感じています。何故ならJ・K・ローリングの物語は、ある特別な時代・世代に向けたものではなく、普遍的な価値があるものを描いているからです。愛を賛美することや、何が真実かを見抜く眼識をもつこと、そして相手を理解する思いやりの大切さといった、人生における美しい価値をね。
私たち人類は、幾度となく分断された世界を経験してきましたが、そこからは残念なことにほとんど何も学ぶことができていない。だからこそ、この物語が時代を超えたものとなって受け継がれていくことで、この作品の潜在的なメッセージに皆さんが気付いていただけたら幸いです。
映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
公開日:2022年4月8日(金)
監督:デイビッド・イェーツ
脚本:J.K.ローリング
プロデューサー:デイビッド・ヘイマン
出演:エディ・レッドメイン、ジュード・ロウ、エズラ・ミラー、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、カラム・ターナー、ジェシカ・ウィリアムズ、キャサリン・ウォーターストン、マッツ・ミケルセン
配給:ワーナー・ブラザース映画
<あらすじ>
魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、ダンブルドア先生や魔法使いの仲間たち、そしてなんとマグル(非魔法族/人間)と、寄せ集めのデコボコチームを結成!魔法界と人間界の支配を企む黒い魔法使い、グリンデルバルドに5つの魔法のトランクで立ち向かう!ダンブルドアの“秘密の作戦”とは、いったい !?