企画展「うるわしき薔薇─ルドゥーテ『バラ図譜』を中心に」が、群馬県立近代美術館にて、2022年7月9日(土)から8月28日(日)まで開催される。
ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテは、1759年に現在のベルギーで生まれた植物画家だ。王妃マリー・アントワネット、ついでナポレオン王妃ジョゼフィーヌの植物画家として多くの植物図譜を手がけ、「花のラファエロ」とも称えられている。とりわけ、169種のバラをすべて自身で描き、多色刷銅版で出版した『バラ図譜』は、史上もっとも美しい植物図譜のひとつとされている。
企画展「うるわしき薔薇─ルドゥーテ『バラ図譜』を中心に」は、時代を超えて愛される花、バラの魅力に着目。ルドゥーテの代表作である『バラ図譜』から約120点の植物図譜を紹介するとともに、日本のボタニカル・アートの先駆者のひとりである二口善雄が手がけた『ばら花譜』の原画や、写真家の石内都による「Naked Rose」シリーズをあわせて展示する。
ルドゥーテの『バラ図譜』は、当時フランスで入手できたすべてのバラの品種を記録すべく、野生種、フランスの庭園にあった園芸種ばかりでなく、中国やアメリカから持ち込まれたばかりの品種など、さまざまなバラを網羅的に収めており、19世紀後半にモダンローズが生まれる前の、オールドローズの貴重な記録となっている。本展では、『バラ図譜』のうち約120点の版画を、「いにしえのバラ」や「中国からきたバラ」 など4つのセクションに分けて紹介する。
二口善雄は、戦後日本において、植物を科学的な視点から描いたボタニカル・アートを牽引した植物画家のひとりだ。なかでも、二口が図版を手がけ、1983年に出版された『ばら花譜』は、植物画の正確な描写と繊細な美しさを備えた豪華本となっている。会場では、『ばら花譜』の原画から、日本の野生種、オールドローズ、ルドゥーテの時代にはまだ誕生していなかったモダンローズなどを描いた素描作品を目にすることができる。
石内都は、資生堂(SHISEIDO)でバラの香りの研究に携わり、数々の香りを生みだしてきたパフューマリー・ケミスト蓬田勝之の著作『薔薇のパルファム』のために写真を依頼された際、初めてバラを被写体とした。それまで石内は、建物や身体に刻まれた時間の痕跡をテーマとした写真作品を手がけてきたが、この「Naked Rose」シリーズではバラの生を独自の視点で捉えることを試みている。本展では、同シリーズの写真作品を、映像作品とともに展示する。
企画展「うるわしき薔薇─ルドゥーテ『バラ図譜』を中心に」
会期:2022年7月9日(土)〜8月28日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 7月9日(土)〜7月31日(日) / 後期 8月2日(火)〜8月28日(日)]
会場:群馬県立近代美術館 展示室 1
住所:群馬県高崎市綿貫町992-1 群馬の森公園内
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館)、7月19日(火)
観覧料:一般 800円(640円)、大高生 400円(320円)
※( )内は20名以上の団体割引料金
※中学生以下、障害者手帳などの所持者その介護者1名は無料
【問い合わせ先】
群馬県立近代美術館
TEL:027-346-5560