企画展示「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」が、群馬県立館林美術館にて、2022年7月16日(土)から9月19日(月・祝)まで開催される。
佐藤忠良(さとう ちゅうりょう)は、日本を代表する彫刻家だ。1912年、宮城に生まれた佐藤は、青年期までを北海道で過ごし、画家を志して上京。その後ロダンをはじめとするフランス近代彫刻に関心を抱いて、東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学び、卒業後に舟越保武らとともに新制作派協会(現・新制作協会)彫刻部の創設に携わった。戦時中は召集されて旧満州に渡り、シベリア抑留も経験、復員後は一貫して具象彫刻を手がけた。
企画展示「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」では、佐藤の3つの代表作、《群馬の人》、《帽子・夏》、そして絵本『おおきなかぶ』に焦点を合わせ、佐藤自身が収集したロダンやムーア、マリーニなどの作品などとともに、その制作背景に光をあてる。
《群馬の人》は、佐藤の初期の代表作であり、写実を深く追求し、日本人の手で初めて日本人の顔を表現した作品として高く評価された。1952年、第1回新制作展に出品された同作は、佐藤が出会った群馬の人びとに対するさまざまな思いが凝縮されているとされる。《群馬の人》が制作された時期には、「佐藤の首狩り」といわれるほど数多くの頭像が作られ、市井を生きるモデルに抱いた共感や、対象から受ける衝動に基づく新しいリアリズムが展開されることになった。
1966年、東京造形大学の教授となった佐藤は、学生と接するなかで若者のリアリティーを捉え、ジーンズや帽子など、当時の若い女性のさりげない着こなしを彫刻の造形表現に取り込むようになった。今という時代感覚を湛えた《帽子・夏》は、そうした作品を代表するものである。本展では、その背景にあったイタリア近代彫刻の自由な造形の刺激に着目して、佐藤の作品を紹介する。
佐藤は、戦前より多数の絵本の出版に携わっており、なかでもロシア民話を題材とした『おおきなかぶ』は、シベリア抑留を経験し、現地の風景や人びとの生活を強く記憶していた佐藤にとって、渾身の1冊となった。会場では、的確な描写力と場面展開によって1962年の刊行以来読み継がれている同作の原画を目にすることができる。
企画展示「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」
会期:2022年7月16日(土)〜9月19日(月・祝) 会期中に一部作品の展示替えあり
[前期 7月16日(土)〜8月21日(日) / 後期 8月23日(火)〜9月19日(月・祝)]
会場:群馬県立館林美術館 展示室2・3・4
住所:群馬県館林市日向町2003
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、8月15日(月)、9月19日(月・祝)は開館)、7月19日(火)
観覧料:一般 830円(660円)、大高生 410円(320円)
※( )内は20名以上の団体割引料金
※中学生以下、障害者手帳などの所持者およびその介護者1名は無料
※群馬在住の65歳以上は平日のみ2割引
【問い合わせ先】
群馬県立館林美術館
TEL:0276-72-8188