企画展「遊びの美」が、東京の根津美術館にて、2023年2月5日(日)まで開催される。
日本の歴史を顧みるとき、「遊び」とは、決して単なる娯楽や遊楽に留まるものではなかった。たとえば、平安時代の公家の歌合(うたあわせ)は、左右に分かれて和歌を詠んでその優劣を競う遊びであるが、そもそも公家にとって歌を詠むことはコミュニケーションの重要な手段であった。「遊び」は、必要な修養を高めることであり、技芸を磨くことでもあったのだ。
企画展「遊びの美」では、文化としての「遊び」の諸相を、根津美術館の館蔵品を通して紹介。華やかな屏風を中心に、絵画や古筆などを展示する。
平安時代の公家の代表的な遊びのひとつが、蹴鞠だ。屋外で鹿革の鞠を蹴り、回数や姿勢の美しさを競うスポーツではあるものの、やがて流派が形成されるなど、その技が専門的に高められてゆくことになる。本展では、満開の桜の木のもとで蹴鞠を楽しむ様子を描いた《桜下蹴鞠図屏風》(重要美術品)や、貴族が楽しんだ「物合」などにまつわる作品を紹介する。
乗馬や弓矢の技術を競う狩猟などの武家の遊びは、武芸の鍛錬という側面をあわせ持っていた。会場では、源頼朝が自身と幕府の権威を天下に示すために富士山の裾野で繰り広げた巻狩りを描いた《曽我物語図屏風》などを目にすることができる。
江戸時代になると、太平の世を背景に庶民の経済力や行動範囲が拡大し、これにともなって祭礼や社寺参拝が娯楽や観光を兼ねるようになった。そしてこれらは、共同体の結束を強め、人びとの見聞を広めることになる。本展では、双六や腕相撲などに興じ、琵琶法師が『平家物語』を語るなど、さまざまな遊興の様子を描いた《邸内遊楽図屏風》などから、江戸時代の市井における遊びに光をあてる。
企画展「遊びの美」
会期:2022年12月17日(土)〜2023年2月5日(日)
会場:根津美術館 展示室1・2
住所:東京都港区南青山6‐5‐1
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(1月9日(月・祝)は開館)、年末年始(12月26日(月)〜1月4日(水))、1月10日(火)
入館料:一般 1,300円、学生 1,000円、中学生以下 無料
※オンラインでの日時指定予約制(12月13日(火)より美術館ホームページにて受付開始予定)
※障害者手帳提示者および同伴者1名は200円引き
※当日券(一般1,400円)も美術館受付にて販売(予約済みの来館者を優先して案内するため、当日券での来館者は待つ場合あり。混雑状況によっては当日券を販売しない場合あり)
■日時指定予約制
・来館希望時間帯の1時間前までに根津美術館ホームページ上にて日時指定券を購入(クレジットカード決済のみ)
・招待はがきを所持していて入館無料の場合も予約が必要
【問い合わせ先】
根津美術館
TEL:03-3400-2536 (代表)