企画展「超絶技巧からモダンへ —京都・近代工芸の新展開—」が、長崎県美術館にて、2025年1月17日(金)から3月16日(日)まで開催される。
近代日本の工芸は、美的・様式的な意味で「超絶技巧」から「モダン」へと展開してきた、と言うことができる。明治時代前期には、細密な装飾性とあたかも実物であるかのような迫真性を持った、いわゆる「超絶技巧」の工芸品が手がけられた。そして明治時代中期以降になると、デザインを改良する動きが広まり、より「モダン」な工芸品が生まれるようになったのであった。
企画展「超絶技巧からモダンへ —京都・近代工芸の新展開—」は、京都国立近代美術館所蔵の工芸品を軸とする約170点を通して、近代日本における工芸を紹介する展覧会。京都国立近代美術館が誇る日本有数の工芸コレクションのなかから、初公開作品を含む約160点の名品をまとめて公開する機会となる。
明治時代前期の日本は、近代国家として歩み始めるなか、文化的に高い水準にあることを欧米に示すかのように、技巧性の高い「超絶技巧」の工芸品を数多く生みだした。特に京都では、首都が東京に定められて以来、人口の減少と経済的・文化的な衰退が進んだことを背景に、工芸の維持・発展を支える動きが起こっている。本展の前半では、並河靖之の《桜蝶図平皿》や七代錦光山宗兵衛《花蝶図大鉢》など、「超絶技巧」とのちに呼ばれるような工芸品の数々を目にすることができる。
明治33年(1900年)に開催されたパリ万国博覧会は、アール・ヌーヴォーを国際的に広めた万博として知られている。その影響は日本にも及んでおり、図案、つまり工芸品のデザインを改良する動きが国内で起こるようになった。こうしたなかで工芸品は、従来の「超絶技巧」から離れ、洗練された「モダン」へと変化していったのだ。会場の後半では、浅井忠の図案による杉林古香《鶏梅蒔絵文庫》や、神坂雪佳が図案を手がけた河村蜻山《雪庵菓子碟》といった工芸品を展示する。
さらに、大正時代以降における日本の美術界では、海外の美術動向が日本にもたらされるなか、芸術家の個性や創造性を尊重する方向へと舵を取るようになった。本展では、陶磁器の模様に精神性の表出を求めた富本憲吉や、古典を独自に解釈して高い技量で表現した河井寬次郎など、自由な創作を展開した作家による作品を紹介する。
2024年度国立美術館巡回展
企画展「超絶技巧からモダンへ —京都・近代工芸の新展開—」
会期:2025年1月17日(金)~3月16日(日) 会期中に一部作品・資料の展示替えあり
[前期 1月17日(金)~2月24日(月・振) / 後期 2月26日(水)~3月16日(日)]
会場:長崎県美術館 企画展示室
住所:長崎県長崎市出島町2-1
開館時間:10:00~20:00(入場は19:30まで)
休館日:1月27日(月)、2月10日(月)・25日(火)、3月10日(月)
観覧料:一般 1,200円(1,000円)、大学生・70歳以上 1,000円(800円)、高校生以下 無料
※( )内は前売および15名以上の団体割引料金
※前売券は、12月14日(土)から1月16日(木)まで、長崎県美術館、チケットぴあ(Pコード 687-111)、ローソンチケット(Lコード 83034)、セブンチケット(セブン-イレブン)、CNプレイガイド(ファミリーマート)、イープラスほかにて販売
※身体障害者手帳などの提示者および介護者1名は5割減額
※会期中、本展観覧券でコレクション展にも入場可
※会期中、本展観覧券の半券提示により前売料金にて入場可
【問い合わせ先】
長崎県美術館
TEL:095-833-2110