フィンランドを代表する画家ヘレン・シャルフベックの日本初となる大規模個展「ヘレン・シャルフベックー魂のまなざし」が開催。2015年6月2日(火)から7月26日(日)まで東京藝術大学大学美術館で行われる東京展を皮切りに、仙台、広島、葉山を巡回する。
2012年、生誕150周年を記念する大回顧展がフィンランド国立アテネウム美術館で開催され、近年世界的に注目されているヘレン・シャルフベック。3歳のときに事故で左足が不自由になった彼女は、11歳で絵の才能を見いだされ、後に憧れのパリに渡り、エドゥアール・マネやポール・セザンヌ、ジェームズ・マクニール・ホイッスラーといった画家たちから強い影響を受けた。そしてフィンランドに帰国後は、母親の介護をしながらヘルシンキ近郊の街で絵画制作を続け、独自のスタイルを展開。17世紀のエル・グレコに学んだ作品など、美術雑誌からインスピレーションを得つつ、新しい技法を試すかのように斬新なスタイルの自画像を多数制作していった。
《赤いりんご》1915年 油彩・カンヴァス フィンランド国立アテネウム美術館
Yrjö and Nanny Kaunisto Collection, Ateneum Art Museum, Finnish National Gallery/Henri Tuomi
本展はそんなシャルフベックの全貌に、時期ごとに分けた5つのセクションから迫る。展示は、フィンランドの国宝級の作品といわれる『快復期』(1888年)や『黒い背景の自画像』(1915年)にはじまり、ホイッスラーの影響を強く感じさせる『お針子(働く女性)』(1905年)や、セザンヌの影響がある 『赤いりんご』(1915年)、リアリスティックな描写が際立つ『少女の頭部』(1886年)など、初期から晩年に至るまでの作品を網羅。フィンランド国立アテネウム美術館のコレクションを中心に、代表作が一挙に集められる。
その中でも、パリで吸収したものを大胆に抽象化した作品や、鏡の中の自分を冷徹に見つめた晩年の自画像には、彼女らしい独自のみどころが満載だ。特に、女性でありながら美化することを一切拒否した、まるで骸骨のような自画像からは、性別にこだわることなく、死ぬまで一人の画家であり続けようとした強い「まなざし」を感じられる。
北欧デザインのブームや、2017年に建国100年を迎えることから、近年話題になることが多いフィンランド。その代表とも言える女性画家の一生が、存分に味わえる展覧会となる。
【開催情報】
「ヘレン・シャルフベックー魂のまなざし」
■東京展
期間:2015年6月2日(火)〜7月26日(日)
場所:東京藝術大学大学美術館
住所:東京都台東区上野公園12−8
■仙台展
期間:2015年8月6日(木)〜10月12日(月・祝)
場所:宮城県美術館
住所:宮城県仙台市青葉区川内元支倉34−1
■広島展
期間:2015年10月30日(金)〜2016年1月3日(日)
場所:奥田元宋・小由女美術館
住所:広島県三次市東酒屋町453−6
■葉山展
期間:2016年1月10日(日)〜3月27日(日)
場所:神奈川県立近代美術館 葉山
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色2208−1