世界文化遺産をはじめ、世界に誇る歴史的建造物が点在し、日本が創り上げてきた歴史を肌で感じることができる古都・京都。数多くの社寺では、四季折々の美しい風景が楽しめる。
本記事では、そんな京都の絶景を楽しめる社寺を、今の季節ならではの見どころをピックアップするとともに、嵐山、東山、伏見など各エリアごとに分けて紹介。京都観光の際に役立ててほしい。
初秋の京都は、桜の季節や紅葉の季節とはまた異なる、爽やかな“緑”に包まれた絶景を楽しめる。まだ色づく前の爽やかな京都の魅力を感じられる寺院をピックアップ。
将軍源頼家が寺域を寄進し栄西禅師を開山として、宋国百丈山を模して建立された建仁寺。正元元年(1259年)宋の禅僧、建長寺開山蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が入寺してからは禅の作法、規矩(禅院の規則)が厳格に行われ純粋に禅の道場となった。京都最古の禅寺として有名だ。
苔やモミジの木、石組みから構成される「潮音庭」は、どこからみても正面に見えるように計算された造りとなっており、書院や回廊など、さまざまな角度から多彩な表情を楽しめる。
【詳細】
建仁寺
住所:京都市東山区大和大路通四条下る小松町
拝観時間:10:00~17:00(受付終了 16:30)
拝観料:一般 500円、中高生 300円、小学生 200円 ※小学生未満は無料
三千院は、比叡山の麓に堂宇を並べる天台宗の寺院。玄関口である御殿門を抜けた敷地の中には、客殿の庭園「聚碧園(しゅうへきえん)」、三千院の最も重要な法要である御懴法講(おせんぼうこう)を執り行うため建てられた「宸殿」、宸殿より往生極楽院を眺める池泉回遊式庭園「有清園(ゆうせいえん)」などがある。
「有清園」は、初秋になると多彩な苔に覆われ一面が緑の風景に。客殿前の「聚碧園」も苔やカエデの美しい緑に包まれる。なお、「有清園」の往生極楽院南側、弁天池脇にたたずむ小さなお地蔵さま「わらべ地蔵」は、石彫刻家の杉村孝が手掛けたもので、有清園の苔と一体となって佇んでいる。
【詳細】
三千院
住所:京都市左京区大原来迎院町540
TEL:075-744-2531
拝観時間:9:00~17:00(11月 8:30~17:00、12月~2月 9:00~16:30)
拝観料:一般 700円(団体30名以上600円)、中学生・高校生 400円(団体30名以上300円)、小学生 150円
休館日:無休
東福寺は、鎌倉・室町期の絵画、開山聖一国師が宋より持ち帰った貴重な書蹟類、鎌倉期以来の文書など、国宝・重要文化財を多数所蔵する寺院。
庭園の美しさにも定評があり、作庭家・重森三玲が方丈の東西南北に配した「八相の庭」は必見。なかでも、ふかふかと立体感ある苔と敷石が斬新な空間を作り出している北庭「市松の庭」が印象的だ。
【詳細】
東福寺
住所:京都府京都市東山区本町15丁目778
拝観時間:
4月~10月末 9:00~16:00(拝観受付終了は16:00 ※16:30に閉門)
11月~12月初旬 拝観時間 8:30~16:00(拝観受付終了は16:00 ※16:30に閉門)
12月初旬~3月末 拝観時間 9:00~15:30(拝観受付終了は15:30 ※16:00に閉門)
拝観料:通天橋・開山堂 400円(小中学生 300円)、国指定名勝 東福寺本坊庭園 400円(小中学生 300円)
常寂光寺は、慶長年間(1596〜1614)に大本山本圀寺第16世究竟院日禛上人により開創された。本堂にたどり着くまでにある、仁王門は、本圀寺客殿の南門を元和二年(1616)に当山に移築したもの。仁王門像は目と足腰の病にご利益があるとされ、近在の檀信徒がわらじを奉納して病気平癒を祈願されている。
また、緑の木々に囲まれた、本瓦葺きの二層屋根の本堂を越えたところには、多宝塔がそびえたつ。境内の後方、やや小高い地点に建つ多宝塔は、方三間、重層、宝形 (ほうぎょう) 造、檜皮葺、総高約十二メートル余で均整のとれた美しい姿を示している。
【詳細】
常寂光寺
住所:京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3
拝観時間:9:00〜17:00(16:30受付終了)
拝観料:500円
※年中行事: 8月16日 大文字送り火望拝、12月31日 大晦日 除夜鐘打公開。
圓光寺は、徳川家康が国内教学の発展を図るため、下野足利学校第九代学頭・三要元佶(閑室)禅師を招いて学校として建設された寺院。出版に使用された木活字が現存しており、我国出版文化史上特筆すべき寺院でもある。
四季で異なる表情を見せる中、まるで緑が迫ってくるような景色を臨める新緑と、葉の色合いが楽しい紅葉の季節がおすすめ。山門を入ると枯山水「奔龍庭」が眼前に広がり、更に中門を抜けると苔と紅葉で有名な「十牛之庭」が広がる。裏山には徳川家康を祀った東照宮、村山たか女やマレーシア留学生オマールが眠る墓地がある。
【詳細】
圓光寺
住所:京都市左京区一乗寺小谷町13
拝観時間:9:00~17:00
拝観料:大人 500円、高・中学生 400円、小学生 300円
TEL:075-781-8025(受付時間9:00~17:00)
『平家物語』に登場し、“慈恋の尼寺”として知られる祇王寺。そう呼ばれるのは、物語の中で、平清盛の寵愛を受けた白拍子の祇王が清盛の心変わりにより都を追われるように去り、母と妹とともに出家・入寺したことが由来だ。竹林と青もみじに包まれた静寂とつつましやかな草庵は、新緑の季節には、清らかな緑で来るものを迎える。
また、祇王寺は昔の往生院の境内にあり、往生院は法然上人の門弟良鎮によって創建されたと伝えられている。
【詳細】
祇王寺
住所:京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32
拝観時間:9:00~17:00
拝観料:大人 300円・小人(小中高) 100円
大覚寺・祇王寺(2カ寺)共通拝観券:600円
※大覚寺500円、祇王寺300円 計800円の通常拝観料が600円となる。
日本最大の禅寺として名を馳せる正法山妙心寺。その場所は、かつて公卿の邸があり、四季折々に美しい花が咲き乱れる花畑があったことから「花園」と呼ばれた。その地を気に入った第95代天皇の花園法皇が、離宮を改めて禅寺としたのが妙心寺のはじまりとされる。現在の妙心寺は、塔頭46ヶ寺、末寺は日本をはじめ世界各国にわたり3,400ヶ寺余り、在籍僧数は約7,000人に及ぶ。
妙心寺の広大な敷地にある桂春院は、安土桃山時代末期に創建され、中には千利休の子である宗旦(そうたん)の門弟の四天王のひとり藤村庸軒好みの「既白庵(きはくあん)」という非公開の茶室がある。一方で、公開されている方丈からは杉苔が美しい「真如の庭」を眺めることができ、お菓子やお抹茶も楽しめる。
【詳細】
妙心寺桂春院
住所:京都府右京区花園寺ノ中町11
時間:9:00~17:00(11月~2月末は6:00~16:30)
料金:400円
2019年12月8日(日)までは、三千院、圓光寺、東福寺、建仁寺、常寂光寺、地蔵院、祇王寺、妙心寺桂春院の8箇所で「苔」を用いたアート作品“モシュ印”と“コケ寺リウム”の展示を行う。
「moss(モス)」つまりは苔と「御朱印」をかけ合わせた“モシュ印”は、御朱印の文字の部分を苔で描いた、ビッグサイズのオリジナルアート。一方で“コケ寺リウム”は、各寺院の象徴的な建物などのジオラマと庭園を苔で再現したガラス容器のミニチュアアートとなっている。
【開催概要】
“モシュ印”と“コケ寺リウム”展示
期間:~2019年12月8日(日)
開催場所:三千院、圓光寺、東福寺、建仁寺、常寂光寺、地蔵院、祇王寺、妙心寺桂春院
内容:各寺院にモシュ印を1点、コケ寺リウムを3点展示。
※作品の公開時間は各寺院の拝観時間に準ずる。
※法要などにより、拝観休止となる場合、モシュ印・コケ寺リウムともに観覧不可。
※モシュ印・コケ寺リウムの観覧には各寺院の拝観料が必要。
そのほか京都各地のでは四季折々に魅力が変わる有名寺院が多数。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、そして冬は雪。情緒豊かな京都の景色を楽しめる場所をラインナップ。