特別展「生誕260年記念 北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―」が、神奈川・箱根の岡田美術館にて、2020年9月27日(日)まで開催される。なお、岡田美術館は2020年4月9日(木)から臨時休館していたが、5月30日(土)に再開。
「生誕260年記念 北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―」は、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の生誕260年の節目を記念した展覧会。北斎の70年にわたる画業のうち、40歳代から最晩年までの各時代を代表する珠玉の肉筆画11点を中心に据え、版画・版本、春画を含む全17点の北斎作品を展示する。岡田美術館で収蔵する北斎作品全てを同時に公開するのは、本展が初となる。
注目したいポイントは、50歳前後に描かれた肉筆美人画の2大傑作「夏の朝」と「美人夏姿図」(個人蔵)の同館初競演。2枚の絵を見比べながら楽しむことができる。
鏡に顔を映して身支度を整える女性の、美しい後ろ姿を描き出した「夏の朝」と、扱帯を手に、首を下へ曲げてうつむき気味に立つ美人を描いた「美人夏姿図」は、いずれも着物の質感や小道具といった細部から夏らしさが見て取れる。
さらに、代表作「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』(個人蔵)、春画の名作「浪千鳥」『萬福和合神』(個人蔵)なども登場。墨の線だけを版木で摺り、一図ずつ筆で彩色した豪華本の「浪千鳥」と、絵に加えて物語も北斎が作った『萬福和合神』は、 いずれも北斎春画の代表作と名高い。
加えて、北斎に影響を受けたフランスのガラス作家、エミール・ガレの作品も展示。エミール・ガレの「菊に蝶文花器」には、『北斎漫画』から引用した蛙のモチーフが使用されている。こうした多彩な作品を通して、北斎のもつさまざまな魅力にふれることができそうだ。
会期中には、2012年、60余年ぶりに奇跡的に再発見された喜多川歌麿の肉筆画の傑作「深川の雪」も公開。同作は、アメリカの美術館が所蔵する「品川の月」「吉原の花」と並ぶ、遊所で働く女性たちを描いた美人画「雪月花」三部作のうちの1つであり、歌麿最晩年の渾身作と 位置付けられている。いずれも浮世絵の掛軸画では異例の大画面に描かれているのが特徴だ。会場では、「品川の月」(フリーア美術館蔵)「吉原の花」(ワズワース・アセーニアム美術館蔵)の高精細複製画もあわせて展示される。
展覧会に連動して、岡田美術館収蔵の「富嶽三十六景」の中から「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」を表現したショコラ「Okada Museum Chocolate『波と富士』」も4月5日(日)から発売。鑑賞の記念にぴったりな1品だ。
【詳細】
特別展「生誕260年記念 北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―」
会期:2020年4月5日(日)~9月27日(日)
※2020年4月9日(木)から臨時休館していたが、5月30日(土)より再開
会場:岡田美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般・大学生 2,800円(2,550円)、小中高生 1,800円(1,550円)
※( )内は前売料金(前売券(JTB レジャーチケット、チケットぴあ)は、主要コンビニエンスストアおよびチケットぴあにて販売)
※再開に伴い、葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を 8月29日(土)から9月27日(日)まで再展示
※当面のあいだ、ギャラリートークは中止
※状況により、再度の臨時休館や時間を短縮しての開館となる場合あり
※来館に際しての注意事項は、公式サイトを確認